ウェブの生みの親であるTim Berners-Lee氏は、営利目的の企業が、多くの非営利団体が使用する「.org」ドメインの管理団体Public Interest Registry(PIR)を買収しようとしていることに対して懸念を抱いている。
インターネットの提供範囲やセキュリティ、プライバシーの向上に取り組む非営利団体Internet Societyは米国時間11月13日、2020年第1四半期までに「.org」ドメインを管理する役割を投資会社Ethos Capitalに売却する計画を発表した。Internet Societyの下部組織であるPIRは、「.org」ドメインの使用権を非営利団体に販売しているが、今回の売却が完了すれば、そうした業務はEthos Capitalに移行する。
Ethos Capitalは、「PIRの中核を成す価値を守り、『.org』をすべての人にとって妥当な価格で入手しやすいものにする」ことを約束した。だが、Berners-Lee氏は納得していない。
Berners-Lee氏は27日、次のようなツイートを投稿した。「私企業への『.org』売却について非常に懸念している。PIRが公益(pubric interest)のために行動することを求められなくなってしまったら、それはもはやPIRの名に値しない。大至急、説明が必要だ」
また、オンライン権利団体の電子フロンティア財団は、検閲と価格上昇に対する懸念を表明し、PIR売却の中止を求める署名活動を開始した。
Ethos Capitalは、「.org」管理業務の発展を促す計画だが、「『.org』コミュニティーに役立つ新しいサービスとサポートを開発することに熱意を抱いている」と述べるだけで、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
だが、Ethos Capitalの最高パーパス責任者を務めるNora Abusitta-Ouri氏はブログで、「『うまく』やるのと『良いこと』をやるのは、相容れないことではない」と主張している。
「成功の基準として一般的に用いられる財務的な成長や収益性などの指標と、社会的責任を伴う取り組みとを両立させる中で、組織が直面する課題に興味をそそられる。この両者については、私自身を含め多くの人が、どちらも同じくらい重要だと考えている」(Abusitta-Ouri氏)
Internet Societyの役員であるRichard Barnes氏は、27日にブログで「.org」管理団体の売却を擁護した。同氏は「.org」の管理団体は値上げの6カ月前に通知しなければならず、ドメイン所有者は10年間の価格据え置きを申請できると指摘した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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