Mozilla年次レポート、ネットセキュリティーやプライバシー重視の姿勢示す

Steve Ranger (ZDNet UK) 翻訳校正: 編集部2019年11月29日 10時54分

 ブラウザー開発を手がけるMozillaは、インターネット上のプライバシー推進に向けた継続的な取り組みや、さまざまな検索広告契約から得た収入について、その詳細を明らかにした。

 Mozilla Corporationの売上高の大半は、ブラウザー検索のトラフィックによるもので、Google、百度(Baidu)、Yandexなどと提携している。同社は2018年に、ロイヤルティー、サブスクリプション、広告から4億3500万ドルの売り上げを得ており、2017年の5億4200万ドルから減少した。同社は2018年に交渉した検索収入に関する契約の変更によるもので、例外的な数値だと説明している。

 Mozillaの2018年年次報告書によると、Mozilla Corporationの売上高とMozilla Foundationへの寄付金は、「インターネットの健全性を守る」取り組みを後押しするために再投資されている。この報告書は、2018年の決算報告など、Mozillaの事業について詳述しており、非営利組織として前年の納税申告を行うタイミングで公表された。

 Mozillaは1998年に、オープソースコミュニティーのプロジェクトとして設立され、2つの組織から成っている。「インターネットの健全性」を推進するMozilla Foundationと、製品の開発や新技術の探求に取り組むMozilla Corporationだ。

 Mozillaは、「Firefox」ブラウザーに新たに搭載した「Enhanced Tracking Protection(ETP)」(強化型トラッキング防止)機能をデフォルトで有効にしたことで、100億以上のトラッカーをブロックしていると述べた。このETPは、オプションとして提供開始されていたが、2018年9月よりデフォルトで有効になった。

 Mozillaによると、ウェブではサードパーティーによる密やかなクロスサイトトラッキングが蔓延しているため、企業は「実質無制限に、人々のオンライン活動によって生成されるデータにアクセスできるようになっている」。そして、企業によるマイクロターゲティングや予測的なプロファイリングを可能にし、人々がオンランで目にする広告やサービス、情報の種類に影響を及ぼしている。「こうしたデータ収集を抑制できなければ、ユーザーは自身のオンライン体験を管理する能力が非常に限られる」とMozillaは指摘する。

 Mozillaは、開発中の新しい製品や技術でもETPを利用している。2019年には「Firefox Preview」でETPのテストを開始した。これは、Mozillaの「GeckoView」エンジンを搭載した「Android」版ブラウザーのベータ版で、まもなくリリースされる見通しだ。また2018年には米国で、セキュアなプロキシとVPN機能を組み合わせた「Firefox Protection Network」のベータ版を提供開始した。Mozillaは、「当社の最終的な目標は、世界のFirefoxユーザーがインターネットに接続されたどのデバイスでも利用できる、シームレスな無料/有料のハイブリッドサブスクリプションサービスを世界的に提供することだ」と説明している。

 Mozilla Foundationはほかにも、インターネットユーザーが人工知能(AI)をどのように捉えているのかということや、倫理が果たすべき役割について探りたいとしている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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