Uberの自動運転車がアリゾナ州テンペで起こした死亡事故の主な原因は、自動車に乗っていた操作員が道路をよく監視しておらず、スマートフォンに気を取られていたことだと、米国家運輸安全委員会(NTSB)が結論付けた。さらに、そうした状況につながったUberの「不十分な安全文化」も原因だとした。
米国時間11月19日に公表されたこの結論は、約1年半にわたる調査を経たものだ。捜査当局は、横断歩道以外の場所で道路を横切っていた女性をUberの自動運転車が認識できなかった理由を解明すべく、事故が起きた2018年3月から調査を進めていた。
夜に起きたこの事故の様子は、車載カメラが撮影した動画に記録されている。この動画には、亡くなったElaine Herzbergさんがバッグを載せた赤い自転車を押しながら、暗い路上を歩く姿が写っている。動画は衝突の瞬間に止まっている。また、運転席に座っていた車両操作員のRafaela Vasquezさんがたびたび視線を下に向ける様子も写っている。
NTSBの調査員は19日、Vasquezさんが当時スマートフォンで動画をストリーミングしていたと述べた。衝突の6秒前に視線を上げたが、また下に戻したという。次に視線を上げたのは衝突の1秒前だった。
Uberは2018年の事故発生後、公道における自動運転車の走行を中止した。
Uberで自動運転車プログラムの安全性を統括するNat Beuse氏は同日、電子メールで「Elaine Herzbergさんの命を奪った2018年3月の衝突事故は極めて遺憾であり、当社は自動運転プログラムの安全性向上に引き続き注力している」「この20カ月、当社の技術や事故後の進歩に関する情報について、NTSBに完全なアクセスを提供してきた」と述べた。
Uberは2018年12月に自動運転車の公道試験を再開した。事故以降、全ての車両に2人の運転手を乗車させると約束し、運転手について最長4時間という制限を設けたほか、安全管理システムを開発するなどの対策をとった。自主的に安全性評価報告書も公開している。
「当社の進歩については誇りに思うが、ここに至った原因や、安全性の基準を引き上げ続けるという当社の責任を見失うことは決してない」(Beuse氏)
NTSBは19日、自動運転車プログラムが人々の信頼を勝ち取るためには、業界全体がより徹底した安全策を採用する必要があるとも述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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