日本工営とスカパーJSATは11月14日、両社の業務提携を発表した。衛星データの活用により、老朽化したインフラの事故リスクを衛星データで一括判断するサービスを共同開発し、2020年のサービス提供開始を目指す。
両社によると、インフラ老朽化による重大事故リスクや、維持管理費用の高騰、台風などによる大規模災害リスクに対し、衛星合成開口レーダー(衛星SAR)のデータを活用した「インフラ変状抽出技術」の実用化が進められており、広い範囲を高い精度で解析できるようになりつつあるという。今回、両社が持つ技術とノウハウを持ち寄ることで、商用化の目途がついたため、サービス構築を行うこととして、本業務提携に至った。
業務提携では、スカパーJSATが国内外の衛星SARから取得したデータを活用して、道路や橋梁などの土木・人工構造物の変状解析を行う情報サービスと、日本工営の防災、インフラ維持管理手法や、コンサルティングサービスを組み合わせ、ユーザーが保有する設備やインフラのモニタリングの異常検知から、リスク判断などのコンサルテーションを一元的に提供するサービスを構築する。
提供するサービスでは、従来は現場に赴いて個別に変状点検していた広域エリアを、上空から撮影する衛星データにより、面的に捉えることができるため、省人化、低コスト化、および工期短縮化が期待できる。
さらに、立ち入り制限区域など、地上からの観測が困難な地域の、数センチ単位の微細な変動や異変も捉えられるので、地上の制約にとらわれることなく、経年変化の把握が可能だ。
将来的には、測量・変状の異常検知などを自動的に行えるシステムに改良し、人手不足や維持管理費用の高騰などの課題解決や、不慮の事故につながるリスクを、世界のどの地域においても低減していくことを目指すとしている。
また、発展途上国などでは、通信環境や現地の地盤データ等が整っていないことが、大規模インフラ建築や都市開発推進時の課題であり、それらの解決にも取り組んでいく考えだ。
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