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翻訳ツールが進化するほど「人は英語を学びたくなる」--プログリット岡田社長インタビュー

藤井涼 (編集部) 鈴木朋子2019年11月15日 08時00分
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 「Google翻訳」や「POCKETALK (ポケトーク)」といった、翻訳アプリや翻訳デバイスが日々進化している今、あえて高いコストと長い時間をかけて英語力をつける必要はあるのだろうかーー。

 そう思いながら、英語学習に二の足を踏んでいるビジネスパーソンも多そうだが、「翻訳ツールが進化するほど、人は英語力を求めてしまう」と指摘するのは、英語コーチングサービス「プログリット(PROGRIT)」を運営するプログリット代表取締役社長の岡田祥吾氏だ。

プログリット代表取締役社長の岡田祥吾氏
プログリット代表取締役社長の岡田祥吾氏

 なぜ、テクノロジーが進化するほど、人は英語を学びたくなるのか。また、岡田氏はどうして英語の“コーチング”に着目したのか。英会話スクールとはどう違うのか。インタビューで様々な疑問をぶつけた。

翻訳ツールがむしろ「学習意欲を高める」

ーー現在はGoogle翻訳や翻訳デバイスなども日々進化していますが、それでも時間やお金をかけて、自分の英語力を上げる必要性はあるのでしょうか。

 自動翻訳ツールが増えるということは、世の中のすべての人が“通訳”をつけられるようになることと同じですよね。今まで通訳は一握りの企業のエグゼクティブやスポーツ選手など、お金持ちにしかつけられませんでした。お金持ちだけが通訳をつけている世界から、今後は誰でも通訳をつけられる世界に変わってくると思うんです。

 そうすると、今まで英語や海外という世界から離れていた人、もしくは逃げていた人が世界と繋がれるようになります。僕はこれがキモだと思ってるのですが、その人達は必ず「自分でやりたい」と思うようになります。自分でやりたいという欲を持つ人が、今より明らかに増えるでしょう。

 プログリットのお客様は経営者の方が多いのですが、皆さん当たり前に通訳がついているので、(英語力がなくても)仕事に支障はありません。それでも「自分でやりたいんだ」と全員言うんです。これは面白いなと思っています。通訳をつけた人でないと分からないことです。

 映画も同じで、日本語吹き替えの映画があったらみんな日本語吹き替えを見るかというと、多くの人が字幕を選んでいますよね。さらに、字幕を見ている人の中には、次は字幕なしで映画を見る人までいます。

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 日本語吹き替えや字幕がなかった時代には、そもそも人々の中に「海外映画を見たい」という欲求はなかったのに、それがテクノロジーで実現してしまった。そうすると、見たいという欲求が生まれますよね。そう考えると、(翻訳ツールが進化するほど)英語学習のニーズは加速度的に増えるだろうな、というのが僕の仮説ですね。

ーーなるほど。旅行や簡単な翻訳など、浅い部分でのニーズはテクノロジーで満たされても、その先を人間は求めると。

 高次元の欲求に変わってくるんです。ビジネスでも直接相手とやり取りしたくなるんです。

 英語学習が加速すると思っている理由がもう1つあって、それは国際社会において日本だけが取り残されている現状です。グローバルでミーティングをしていると、日本人はすべて通訳をつけていますが、韓国人や中国人で通訳をつけている人はまずいません。その中で日本人だけが翻訳デバイスを使って凌ぐのは難しいと考えています。

先生は1人もいない「英語コーチング」

ーー確かにビジネスミーティングで会話のたびに翻訳ツールを使うのは現実的ではないですね...。ここからは、御社が提供しているプログリットについても話を聞かせてください。英会話スクールではなく、英語コーチングに特化させた理由は。

 このサービスを立ち上げたのは3年前なのですが、日本の英語学習に対してとてつもなく問題意識がありました。数十年前から英会話スクールは存在していますし、最近ではAIを使った英会話のアプリやオンライン英会話も出てきて、どんどん英語の学習コストは下がってきています。

 一方で、日本人の英語力をファクトで見ると、全く変わっていません。日本には3000億円以上の英語学習マーケットがありますが、これはずっと伸びています。仮に20年だとしても、日本人は20年で6兆円を英語学習に使っているんです。それなのに英語力が全く変わってないというこの現状を変えられないかと思い、従来とは全く違うサービスで、日本人の英語力を上げていきたいと考えました。

ーー英語力を上げるために大切なことは何だと考えますか。

 英語学習においては3つ大事なことがあると思っています。1つ目が良質な英語学習のコンテンツです。2つ目がそれを個人に合わせて選択すること。自分に合う教材が人にも合うとは限りません。3つ目は、それを継続することです。

 英語業界はコンテンツばかりを提供しているんです。でも、一人ひとりに合わせて最も良い教材を選ぶという“選択”と、その人が学習を“継続”するという2つを目的としたサービスはこれまで存在していませんでした。ですから、僕らはそこだけをやろうと考えました。学習コンテンツは他から使わせていただいて、選択と継続だけを完全にやろうというのがプログリットなのです。

「プログリット」
「プログリット」

 ですから、プログリットはお客様一人ひとりに最も良い学習カリキュラムを作ります。それを3カ月間、1日3時間、皆さんに学習していただきます。どれだけ忙しい人でも、1日3時間の学習が必ずできるようにサポートします。

 学習教材は、市販の本とウェブ教材、オンライン英会話を使います。本は僕らが契約している出版社から購入しますが、ウェブ教材はTEDなども利用します。オンライン英会話は、各自で登録していただく形ですね。

ーー完全にコーチングサービスなんですね。

 そうです。レッスンは一切ないし、先生も一人もいません。社員は150人ほどいますが、コンサルタントという職業です。全員バイリンガルですが、英語自体を教えることはしません。音声で実施するトレーニングは、音声データをチャットで送ってもらえば、コンサルタントが添削してフィードバックすることはありますが、その程度です。

 これが結構本質だと考えています。コンテンツをどう使いこなして、どれだけやるのかに完全にフォーカスしています。この大きな視点の変換により、僕らは3年でここまで伸びたと考えています。毎年黒字を達成しており、今期の売り上げは17億円を達成しています。

ーーどのような生徒が多いのでしょうか。

 現時点で約1000名くらいに利用されており、累計では約6500名になります。ビジネスパーソンが多く、男女比は同じくらいです。年代は30〜40代がメインターゲットです。今まで何らかの英語学習をして何も変わらなかったので、今回は本気でやりたいと言って来られる方が多いですね。

ーー料金が3カ月間で約51万円とのこですが、なぜこれほどの高額に設定しているのでしょう。

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