すでに数多くのユニコーンが生まれているブラジルのスタートアップシーンについて、現地で日本人唯一のベンチャー投資家であるブラジルベンチャーキャピタル代表の中山が解説します。
これまで3回にわたり、ブラジルの市場としての可能性、ブラジル人起業家の実像、ソフトバンクによる南米投資戦略などについて触れてきました。最終回となる今回は、ブラジルのスタートアップの中で、ユニコーンとして把握されている12社を紹介します。
ブラジル発のタクシー・ハイヤー配車・ライドシェア(相乗り)サービスを提供する企業。ブラジル国内400都市以上で事業展開し、30万人以上のドライバーと約1400万人の登録利用者を抱える。
2012年にノビノビタクシー(99 Táxi)という名のタクシー配車アプリを提供する企業として創設。2014年にブラジルに進出したUberの影響を受け、2017年にはライドシェアを開始。2018年には、中国のライドシェア最大手の滴滴出行(Didi Chuxing)が3億ドルでノビノビを買収。
利用者がアプリを使って資金移動でき、ヌーバンクが発行するデビットカードやクレジットカードも利用可能な手数料不要のネット銀行。銀行の審査に通らず銀行口座を作れない低所得者層向けにスタート。
シリコンバレーのVC最大手のセコイアキャピタルを中心に設立。資金調達は累計6億ドル。時価総額は100億ドルを超えているといわれる。2018年点で500万超の利用者。2018年の売上は471億レアル(前年同比115%増)。
決済サービスのプラットフォーム企業。オンラインショッピングのカード決済、実店舗でも使えるWi-FiやBluetooth、ポータブルの決済端末や、eコマースのサイトのない売手のためのeメール決済などを提供。
ブラジルの大手メディアUOLが、2006年に自社の金融サービスのプラットフォームとして設立。2018年にはニューヨーク証券取引所へ上場。調達額約23億ドルで英Dealogicが提供する2018年の上半期グローバルIPOランキングで5位。2019年度第1四半期の純利益は3.1億レアル(前年同期比109%増)。
ブラジル最大級のオンライン証券会社。投資信託、不動産ファンドを含む様々な金融商品への投資がオンラインで可能。現在ではブラジル国内で600の実店舗も持ち、2018年時点で顧客数はブラジルを中心に50万以上。米国でも展開。
少額の投資家や投資初心者に、金融の学びの場を提供しながら投資を行えるサービスを提供する会社として設立。運用額は約1200億レアルに到達。2017年にはブラジル大手イタウ銀行が同社株式の49.9%を63億レアル(当時のレートで約20億ドル)で取得。2018年の純利益は4.7億レアル(前年比10%増)。
ブラジルで独立系最大のカード決済ソリューションを実店舗・オンライン店舗の両方に提供。2018年時点でブラジル全州、計300都市以上でサービスを20万件以上の顧客に対して提供。
2012年の創業から急成長を続け、2019年通期の売上高も16億レアル(前年同期比106%増)を記録。米国のバークシャー・ハザウェイや、中国の著名起業家ジャック・マーが起業した企業グループの投資会社アントフィナンシャルからの出資を受け、2018年にナスダック上場。公募株価21〜23ドルで約10億ドルを調達、企業価値は約90億ドルに到達。
ブラジルで最大のフードデリバリープラットフォームを運営。2018年でブラジルでの利用者は900万人を超え、国内の加盟レストランは5万件、宅配を行う登録者は12万人。1日の注文件数は39万件と、米国同業大手のクラブハブの1日の注文件数41.6万人に匹敵。
ブラジルでレストラン宅配を請け負っていたDisk Cookが2011年にアイフージサイトをオープン。モバイルメディア大手モビレから2013、2014年に出資を受ける。資金調達の累計は5.9億ドル。年間の売上推定は1億レアル。
PlayKids、Apontadorなど、ブラジルで知らない人はいないメジャーな携帯アプリを提供。iFoodも傘下におさめ、フードデリバリーからチケット販売までを扱う同社のサービスの利用者は月間1億2000万人。7カ国で展開。目標は10億人以上のユーザーの生活にインパクトを与えること。
直近8年間、年平均60%の成長を遂げ、推定年商は約300億円。2017年には約55億円の出資を南アフリカの Naspersグループから受ける。バドワイザー、ハインツ、バーガーキングなどの買収で知られるブラジル人著名事業家ジョルジ・パウロ・レマンの Innova Capitalファンドも主要株主として名を連ねる。
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