人とデータが飲食業を変える--高い成果を上げる技術と考え方とは - (page 2)

表情のある工業用ロボットで、コミュニケーションを取りつつデータも取る

 QBIT Roboticsの代表取締役社長&CEOの中野浩也氏は、ロボットが接客する「変なホテル」や「変なレストラン」で話題になった長崎県佐世保市の「ハウステンボス」で、それらのロボットサービスの開発に携わり、導入ノウハウを経てQBIT Roboticsを起業。同社は工業用ロボットにコミュニケーション機能を付加するというコンセプトで、飲食店向けロボットのプラットフォーム開発を行っている。

QBIT Roboticsの代表取締役社長&CEOの中野浩也氏
QBIT Roboticsの代表取締役社長&CEOの中野浩也氏
工業用ロボットを飲食店向けに最適化して転用している
工業用ロボットを飲食店向けに最適化して転用している

 同氏によると、飲食業界、それも地方では人口減少や労働力不足は顕著だという。過去事例を挙げるとハウステンボスでは「休日と平日でお客さんの入りが10倍違う」ほど。しかし、10倍の来客があってもスタッフを10倍にすることはできない。

 このように「飲食業界では自動化、省力化が急務」であり、ロボット化を通し、社会問題の解決の一助となりたい、と同社では考えている。

 機械化ではなく、ロボット化としているのは、“人のコミュニケーション”を重視しているから。「ただの働く機械ではなくて、ロボットが働き、しゃべったり、顔の表情があったりすると、確実に楽しい。無機質な機械よりも、人っぽさのある、なんとなくコミュニケーションでき“人が”楽しくなる要素を取り入れたい」という思いもある。

 同氏によれば、現在のところ飲食のようなサービス業で働ける専用のロボットはほとんど存在せず、そのため工業用ロボットを転用してそこにコミュニケーション機能を付加している。同社のロボットは、本物のバリスタと同じように、プロ仕様のエスプレッソマシンを操ってコーヒーを淹れたり、モニターにコミカルな顔を表示して来店者に話しかけたりする。さらには、搭載しているカメラで人や人の行動を認識し、購入してくれそうな来店者に絞って話しかける、といった判断を行い、おもてなしを行っている。

本物のバリスタと同じように働き、接客しコーヒーを淹れるロボット
本物のバリスタと同じように働き、接客しコーヒーを淹れるロボット

 また、来店客がロボットのどんな接客に対し「笑顔」になり「購入」に至ったかをデータ化し集積。新しい店舗マーケティングとしても注目されている。人が接客するより、ロボットが接客する方が、来店者は素直に反応するのだとか。ロボットの接客は、人を居心地よくさせるようだ。

 同氏は次の2点を説いた。「以前はPOSシステムだけだったが、カメラ、センサーなどで今まで把握しづらかった店舗状況をよく見えるようになった。あとはデータをどう活用するか。今までと違ったアプローチで次の一手を打てるので、データ活用は大事」さらに、「人手不足を解決するためには、実際に作業できることも必須。ロボットはまだ人の代わりに、全ての作業を行うことはできないが、可能性はある。実際に“働いて人のためになる”そして“人を楽しませる”の両方を追求しながら、ロボットサービスで課題解決していきたい」と意気込みを見せた。

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