毎年1月に米ラスベガスで開催されるCESは、4000社を超える企業各社がブースを構え、ロボットアシスタントやしゃべるトイレといった最新の技術を披露する「テクノロジー分野のスーパーボウル」的存在。しかし、人権やプライバシーを擁護する人々の間からは、この世界最大級の民生技術見本市が、人権侵害に手を貸す製品を提供する中国の監視システム開発元2社の信用回復に利用されることを懸念する声が挙がっている。
懸念の声が上がっている中国企業は、科大訊飛(IFLYTEK)と海康威視数字技術(ハイクビジョン)の2社で、前者は音声認識と人工知能(AI)の分野で中国のトップに君臨する大手企業。一方後者は世界最大規模の監視カメラメーカーで、同社の米子会社Ezvizはスマートホーム製品を販売している。10月初めには米商務省が、人権侵害と行き過ぎた監視に対する懸念を理由に、両社および他の企業6社をブラックリストに追加。これによりIFLYTEKとハイクビジョンは米国企業との商取引ができなくなっている。
だが、商務省のこの措置から約1カ月が経過した現在でも、CES 2020の参加企業リストにはIFLYTEKとEzvizの名前が残っている。
IFLYTEKとハイクビジョンは、CESに参加すれば、フレンドリーで最先端技術を提供する企業として自らを世界に発信するための舞台と機会を手にすることができ、米政府の制裁対象となっているにもかかわらず、正統な企業であるかのようなイメージを打ち出せる。
「そのような広報活動は、中国の人権侵害に関与する企業の常態化を促進させる」と、人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチのシニア研究者であるMaya Wang氏は述べている。「さらなる疑問を投じ、手遅れになる前に人権を保護する仕組みを整備しようとするわれわれの感覚を麻痺させる」(同氏)
ハイクビジョン、Ezviz、IFLYTEKに何度かコメントを求めたが、回答はなかった。
CESを主催する全米民生技術協会(CTA)の広報担当者は10月上旬、米CNETの取材に対して、IFLYTEKの参加について再検討しているとコメントしていた。Ezvizの参加については回答しなかった。また米国時間11月1日時点で再検討プロセスに関する新たな情報はないと述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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