3つめのテーマが、「スマートライフ」である。IFA 2019では、AIやIoTに関する展示が活況であり、とくに音声操作や他社機器との連携事例が数多く展示されていたことに触れながら、「そうした中、シャープのAIoTプラットフォームのような、自社機器と他社機器の連携のみならず、自社機器と他社サービスの連携にまで踏み込んだ提案が少なく、来場者に驚きを持って受け止められた」とし、「こうした取り組みを一層加速することを狙いに、10月1日付で、IoT事業およびCOCORO LIFEサービス事業を分社化し、新会社の「株式会社AIoTクラウド」と、「株式会社SHARP COCORO LIFE」を設立し、CEATEC 2019の開幕前日となる10月14日に開催したプレスブリーフィングの中で、新会社の概要や今後の事業展開を説明。さらに展示内容に関しても説明した」と報告した。
CEATEC 2019では、主催者企画展示コーナーにおいて、シャープの家電製品の利用データと、セコムとKDDIが提供するサービスを組み合わせた「見守りサービス」のほか、COCORO KITCHENが持つ生活者の嗜好および習慣データと、広告事業者が持つ近隣店舗の特売情報を組み合わせた「情報提供サービス」、ヘルシオの利用データと料理レシピコミュニティ事業者のレシピ情報との連携、ホテル事業者向けに展開している「クラウド管理コインランドリーシステム」などを展示。「これまでの自前主義による機器中心の展示ではなく、他社と連携したサービス中心の展示を行った」とした。
戴会長兼社長は、開催2日目となる10月16日に現地を視察。展示会全体が、ハード中心の展示から、AIやIoTを活用したライフスタイル提案中心の展示に本格的に様変わりしていることを指摘。「業界全体の変化を改めて感じたが、シャープの展示は業界の流れをリードする内容となっており、中期経営計画の重点戦略に掲げたビジネスモデルの変革が、いよいよ具体化しつつあることを対外的に示すことができた」と総括した。
ここでは、報道関係者から、「AIoTを強力に推進していこうという意思を感じた」、「AIoTの取り組みはシャープのDNAを体現しているようで面白い」など、シャープに対する取り組みを評価する声があがる一方で、「消費者が心から欲しいと思う水準にはまだ至っていない」、「もう少しメリットをわかりやすく伝える工夫が必要ではないか」、「他の家電メーカーや異業種とのさらなる連携が課題」といったコメントがあったことも紹介。「こうした意見を真摯に受け止め、今後もより良いサービスの創出に取り組み、お客様に寄り添った当社ならではの『AIoT World』を早期に構築しよう」と述べた。
一方で、新たな試みとして展示したシースルーディスプレイが多方面から注目を浴びており、ゲームや照明、室内外装飾関連企業を中心に多くの引き合いがあったことにも触れ、「今後も新たな用途提案に積極的に取り組み、事業を大きく拡大していっていきたい」とした。
戴会長兼社長は、CEATEC 2019が閉幕した日の翌日となる10月19日に、社内で勉強会を開催し、関連本部から、シャープの展示内容および反響について説明を受けたほか、今週土曜日(10月26日)にも勉強会を開催して、展示会全体のトレンドおよびシャープの展示のポイントについて、情報を共有する予定だという。
メッセージの最後に触れたのが、新たな組織体制などについてだ。9月28日に全社人事評価委員会を開催し、スマートHE事業本部とグローバルHE事業本部の統合と同様に、スマートTVシステム事業本部とグローバルTVシステム事業本部の統合を決定し、10月1日付で、TVシステム事業本部を新設したことを紹介。「この統合を契機に、8KやAIoTのグローバル展開のスピードを一段と高め、事業の高付加価値化を加速していきたい」とした。
また、2019年度上期には、フィリピンで「Trusted Brand in 2019 for Washing Machine」や「Philippine Outstanding Service Award」を受賞したほか、マレーシアでは「PUTRA BRAND AWARDS」の家電部門銀賞やオフィス機器部門銅賞を受賞。さらにはインドネシアで「Top Brand Award」(空気清浄機部門)や「Service Quality Award」(ホームエンターテイメント部門)を受賞するなど、ASEANでさまざまな賞を受賞することもあわせて報告した。
「こうした社外からの表彰も、シャープのブランドイメージ向上につながる大切な取り組みのひとつである。これから年末年始にかけ、各国でさまざまな表彰が予定されている。今年も、グローバルで数多くの賞をもらえるよう、シャープ製品の革新性や利便性を、積極的にアピールしていきたい」と語った。
締めくくりに戴会長兼社長は、「2019年度下期は、3年間の集大成となる。社員全員の力を結集し、事業変革を進め、当社の持続的成長の道筋を描いていこう」と述べた。
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