グーグルは10月11日、Googleマップに視覚障害者向けの音声ナビゲーション機能を追加したと発表した。iOS/Android版ともに同日より利用可能。また、本機能は珍しく日米同時でのローンチとなる。
これは、目的地までの徒歩ルートにおいて、より詳細な音声ナビゲーションを提供するというもの。これまでは道の状況が目で見える前提での音声案内がメインだったが、新機能では、交差点までのおおよその距離を伝えたり、歩いている通りの名前や方向を教えるなど、不安を取り除けるようなナビゲーションを提供する。さらに、道を間違えてしまいリルートがかかった場合でも、その旨を音声で伝えるという。
グーグルでGeo製品の担当ディレクターを務めるRebecca Moore氏らは、「Help for Everything」をGoogleマップの理念として掲げており、Googleマップを使ったアクセシビリティのハッカソンを開催している。今回の機能は、グーグルジャパンでオンラインパートナーシップグループ ビジネスアナリストを務め、全盲である杉山若菜氏が参加したチームによるアイデアであり、ハッカソンで優勝。杉山氏も開発メンバーに入る形で必要な機能を調整し、1年の時を経て実装にいたった。
ここで重要なのが、伝える情報の量・質だ。杉山氏によると、いちばん大事なのは「目的地に着くこと」だという。健常者視点では、周囲に見えるものなどより多くの情報を提供したほうが良いと考えがちだが、無駄な情報が入るとむしろ不安になってしまうという。また、周囲の環境音も聞く必要があるため、音声アナウンスもシンプルかつ目的地に到着するために必要十分なものになっている。杉山氏はこの機能のおかげで、心理的負担が減り、到着後何をするかについて考えながら移動できるようになったという。
すでにGoogleマップでは、情報を音声で読み上げるボイスオーバー機能が利用でき、Google Assistantを使えば自分の現在地などを音声で伝えてくれるようになっている。今回の機能は、ボイスオーバーをオンにしているユーザーには、プッシュ通知で案内を送るようだ。なお、機能を有効にするには、Googleマップの設定から「ナビ」を選択。「徒歩のオプション」の下にある「詳細な音声ガイダンス」を選択する必要がある。
現時点では、ルートのより詳細な音声案内のみでの提供となり、路線乗り換えを含めた案内はできない。グーグルでは、まずは機能をローンチし、ユーザーからのフィードバックを得ながら今後も改良していく計画としている。
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