DJIは10月9日、精密農業と環境管理を行う農業用ドローン「P4 MULTISPECTRAL」を発表し、DJI JAPANの代表取締役の呉韜氏が説明した。RGBカメラと5つのセンサーを搭載、圃場(ほじょう)センシングを行うために開発されたもの。
P4 MULTISPECTRALは10月より全世界で販売開始し、日本での価格は1年間のアプリライセンスが付属して約85万円(税込)から。
呉氏によれば、農業就業人口の減少や就業者の高齢化が進むなかで、農業用ドローンにさまざまな分野で期待がかかっている。P4 MULTISPECTRALでは圃場センシングに対応。ほかにも、ドローンによる薬剤散布など農業用ドローンに期待される分野がある。
圃場センシングは農作物を育てる場所の植生や健康状態を調べ、雑草や害虫被害、土壌状態を測定、収穫量改善に役立てる。従来は現場で手作業で現地で調査したり、大規模なところでは人工衛星によってリモートセンシングを行っていたりしたが、手作業では手間がかり、人工衛星では高精度のセンシングが困難だ。そこでドローンの利用が進んでいる。
P4 MULTISPECTRALでは合計6つのセンサーからの取得データを組み合わせて、より手軽にセンシングができるようにしたことが特徴。次世代農業のための統合型マルチスペクトルイメージングドローンで、DJIの日本の開発チームによってリモートセンシング専用として開発され、世界初の製品としている。
センサーは可視光のRGBカメラのほか、レッドエッジ(RE)、近赤外(NIR)、グリーン(G)、レッド(R)、ブルー(B)で、3軸ジンバルによって安定した画像を取得する。画像は通常の画像であるRGB画像のほか、植生の分布状況や活性度を示す指標のNDVIの画像もライブ表示できる。
P4 MULTISPECTRALはDJIのPhantomシリーズの機体を採用、RTK測位モジュールとTimeSyncシステムで正確な測位データ取得を可能とし、cmレベルの正確な測定が可能。DJI GS Proアプリケーションで飛行計画、ミッションの実行、飛行データの管理なども作成できる。
また、DJIでは薬剤散布などに使う農業用ドローン「AGRAS T16」も参考展示した。日本にも順次投入する予定のドローンで、16リットルの薬剤タンクを搭載、独自の6ローターによってよって最大幅6.5mの広い散布、均一な散布を実現。8つのスプレーノズルから1分間に最大4.8リットルの散布を可能とし、ローターのダウンウォッシュをシミュレートして作物の株元までしっかり薬剤を散布する性能を持つとしている。
すでにDJIは農業用ドローンとして「AGRAS MG-1」を2017年3月から投入しているが、これまでの販売のなかでの要望などから効率性の向上、安全性の向上、処理能力の向上を目指して開発したものとなっている。
DJIではP4 MULTISPECTRALで圃場センシングを行い、AGRAS T16で農薬散布を行うなどソリューションとして一貫した展開展開を行う。圃場の3Dモデル化をし、建物、池などをAIで認識、散布ルートを生成して飛行するといったことも可能になるとしている。
今回の説明会は千葉市の幕張メッセで開催中の農業関連の展示会「第9回 農業Week東京」に合わせて幕張メッセで実施された。DJIは農業Week東京のなかの「国際 次世代農業EXPO」にブース出展しており、ブースでもP4 MULTISPECTRALとAGRAS T16を展示している。
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