警察などもこれを把握しており、警戒、対策を始めている。たとえば愛知県警はTwitterで、受け子・出し子を募る投稿に対して、公式アカウントで「こちらは愛知県警察です。このツイートは、詐欺の実行犯を募集する不適切な書き込みの恐れがあります」などと警告ツイートをするなどしている。
県警は、2018年10月にも援助交際の相手を求める投稿に対して公式Twitterで注意を返信していた。これによって、1日に約2800件あった援助交際に関する投稿が約1200件にまで減る効果があったそうだ。また、各県警などでも、騙されたふりをして受け子がお金を受け取りに来たところを逮捕することもあるという。
神奈川県警が2018年に特殊詐欺事件での容疑者に対して調査したところ、動機は80%が「一時的な金稼ぎ」のためだったが、51%は約束した報酬をまったく受け取れず、得られた場合も半数近くが10万円未満だったという。
逮捕によって、決まっていた専門学校入学や就職が取り消しになった例もある。自宅などが把握されているため家族などへ危害が加えられることを恐れ、犯罪行為と知りグループから抜け出したくても抜け出せなくなってしまうそうだ。収入目的のはずが得られることもなく、犯罪者となり将来が台無しになってしまう可能性もあるのだ。
今は犯罪グループもSNSに目をつけている。空き巣集団を募集するのも、振り込め詐欺の受け子・出し子募集も、今はSNSが使われることが多い。SNSで募集しているからといって、気軽なバイトではなく犯罪ということがある。子どもには、簡単に高収入が得られるバイトなどはないこと、犯罪に巻き込まれる可能性もあることを教えてあげてほしい。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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