ドローンは過疎地の物流インフラになるか--岡山県和気町が目視外配送の実験を開始

 岡山県和気町とレイヤーズ・コンサルティングは9月30日、ファミリーマートやコニカミノルタ、NTTドコモと共同で、重量150キロ以上の大型ドローンによる配送実証実験を、日本で初めて実施すると発表した。

左から、エアロジーラボ 代表取締役社長・CEOの谷 紳一氏、レイヤーズ・コンサルティング 事業戦略事業部 統括マネージングディレクターの草加 好弘氏、ファミリーマート 執行役員 営業本部長補佐・営業本部 営業推進部長の青木 実氏、コニカミノルタ 産業工学システム事業本部 グループリーダーの柴谷 一弘氏
左から、エアロジーラボ 代表取締役社長・CEOの谷 紳一氏、レイヤーズ・コンサルティング 事業戦略事業部 統括マネージングディレクターの草加 好弘氏、ファミリーマート 執行役員 営業本部長補佐・営業本部 営業推進部長の青木 実氏、コニカミノルタ 産業工学システム事業本部 グループリーダーの柴谷 一弘氏

 この実証実験は、総務省の「IoTの安心・安全かつ適正な利用環境の構築(IoT利用環境の適正な運用及び整備等に資するガイドライン等策定)」として実施するもの。昨年12月に和気町にて実施した実証実験の内容を踏まえ、より実運用に近い環境で実施する。

実証実験の内容
実証実験の内容

 レイヤーズ・コンサルティング 事業戦略事業部 統括マネージングディレクターの草加 好弘氏は、実証実験を実施する和気町について、「高齢化と過疎化、人口減少や産業衰退が進行し、これら対策やインフラ老朽化への負担など、日本の多くの地域が今後直面する課題の典型的なモデル地域である」と説明。

 また、免許の返納により自動車に乗れない高齢者の増加や、河川に近接した立地のため災害発生時に孤立する不安といった課題も抱えている。そこで草加氏は、和気町の中心部から離れた3地区、あわせて65世帯146人が居住する各地域を対象に、大型ドローンを活用した過疎地の買い物需要支援に取り組むと説明した。

 配送する商品は、ファミリーマートや地元百貨店の天満屋グループのもの。週3回、和気町の中心部にある和気ドームから、1日1便を運行する。注文は電話やFAX、注文アプリで受け付け、代金は2週間に1度集金する。

 今回の実証実験では、エアロジーラボが開発したハイブリッド型ドローン「エアロレンジ」を使用する。和気町のような山間部では、人口密集地に設置する配送基地と、配達対象エリアの間が長距離となることが多い。そこで、バッテリーに加えてエンジンを搭載し、長距離・長時間の飛行を実現したハイブリッドドローンを採用したという。

飛行ルート
飛行ルート

 飛行時にはドローンを肉眼で監視する補助者を置かず、最長30キロの全区間を自動で飛行させる。そのため、ドローンには常時映像伝送装置を搭載し、管制センターから遠隔でこれを監視する。映像データの伝送には、LTE回線とWi-Fi回線の2系統を用意し、これら電波に関する実証も兼ねる。ヘリポートには、コニカミノルタの遠隔監視パッケージ「MOBOTIX」を設置。ドローンとあわせて遠隔監視する。

 また、今回の実験ではドローンをシェアリングすることで、稼働率向上による収益化の実現も目指す。コニカミノルタとヤンマーが出資するファームアイのソリューションを活用し、ドローンに搭載したカメラで田畑や森林を撮影。データを収集し、スマート農業やスマート林業の実現に繋げる。また、赤外線センサーを搭載し、害獣検知や駆除施策の支援にも活用する。

実験後のシナリオ
実験後のシナリオ

 実証実験の実施期間は、10月1日から2020年1月31日まで。レイヤーズ・コンサルティングでは、和気町での実証実験を通じ、全国の買い物弱者地域や林業地域などに対し、事業ノウハウを展開していく構想を示している。

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