ウチコミ!は、物件のオーナーと入居者を直接つなぐ賃貸サイトだ。オーナーが自ら物件を掲載し、入居者は入居条件や部屋の様子を直接オーナーに聞くことができる。仲介会社を介する通常の入居の流れとは、その仕組みが大きく異なる。
立ち上げたのは、不動産会社の売買営業として長いキャリアを持つウチコミ 代表取締役の大友健右氏。「今の賃貸契約は、オーナーと入居者をつなぐ中間が力を持ちすぎている」「不動産業界独特の商慣習が、賃貸契約の流れを複雑にしている」と長く携わる不動産業界に対して違和感を口にする。IT重説のスタートや敷金、礼金ゼロの賃貸住宅の登場など、賃貸契約フローの簡略化や商慣習にとらわれない物件が登場する中、日本の賃貸はどう変化していくべきなのか、ウチコミが果たす役割は何かなどについて大友氏に聞いた。
――会社を設立されたきっかけを教えて下さい。
2012年に会社を立ち上げ、2013年にサービスをスタートしました。私は不動産売買の営業としてキャリアを重ねてきましたが、この業界は商慣習が独特で、なかなか一般の方には理解しづらい部分があると思ったんですね。普通の人は知らないような不動産業界の話しを「不動産屋は笑顔のウラで何を考えているのか?」(幻冬舎)として1冊の書籍にもまとめています。
不動産業界の仕組みにどうしてみなさん馴染みがないのかというと、家を買う行為が限られた体験だからなのです。人生の中で家を買うのは多くても3回程度。普通は1回ですよね。長い人生の中で1~2回しか触れない業界なので、プレーヤーがどんどん変わる。だからこそ商慣習が長く続く業界とも言えます。
では、不動産業界と長く付き合うのは誰なのかというと、それは物件を所有するオーナーです。書籍を執筆した関係で、講演させていただく機会もあったのですが、その時に賃貸の分野で何かをやってほしいという声をいただき、始めたのがウチコミ!になります。
――今までの賃貸不動産探しとは、流れがかなり違いますね。
通常、賃貸物件を借りる時は、ポータルサイトで物件を探し、取り扱っている不動産会社に出向き、内見、契約を経て入居します。ウチコミ!では、オーナーが直接自分が持つ物件を掲載していますので、入居希望者はオーナーに直接問い合わせ、エージェントと呼ばれる地元の不動産会社スタッフと共に内見し、契約という流れになります。大きく違う点は、一般的なポータルサイトに物件を掲載する場合と大きく違う点は、オーナー側の「AD(広告料)」と、仲介手数料が抑えられることです。
――業界の慣習を変えるという点では、かなり軋轢も生じるのではないでしょうか。
よく聞かれるのですが、意外と軋轢は感じません。ウチコミ!は賃貸物件を借りるために必要な最短ルートというか、本質の部分をそのままサービス化しているので、今の状態での商慣習はずっと続かないということを、皆さん気が付かれているのだと思っています。
ただ、当初はやはり大変でしたね。現在6年目のサービスになりますが、最初の2年で登録していただいたオーナーの数は500人程度。現在は200社を数えるエージェントも、最初は集まりづらかったです。
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