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部屋探しの根本を変える賃貸サイト「ウチコミ!」--オーナーと入居者を直接つなぎ空室減へ - (page 2)

加納恵 (編集部)2019年10月01日 08時30分
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アナログだからこそマッチングする部屋探しがある

――現在登録オーナー数は約9000人とのことですが、ここまで伸ばせた要因は。

 これといった施策があったわけではなく、各地でセミナーを実施するなどして地道に伸ばしていきました。ウチコミ!に登録されているオーナーの方はみなさん、賃貸業において大変勉強熱心です。ですからオーナー同士、口コミで広げていただけたことも大きかったと思います。

 賃貸不動産業は、10数年前にポータルサイトが登場したことで、構造が変わりました。それまでは地元の不動産会社に訪れて物件を探していましたが、ポータルサイトによって、いつでもどこでも物件探しができる環境が整いました。大変便利になりましたが、オーナーと入居者の距離は遠くなってしまった。

 それに伴って、物件情報も駅からの距離、広さ、築年数など一気にデジタル化が進みました。検索するには便利ですが「ペット可」と書いてあっても、大型犬でも良いのか何頭まで飼っていいのかまではわかりません。

 しかしウチコミであれば、オーナーに直接コンタクトをとれるので、何匹までokか、大型犬でもよいのかといった詳細を確認できます。以前、ペットを6匹飼っている方がいらっしゃって、賃貸はどこも貸してくれず困ってらっしゃいました。そこで、オーナーに直接問い合わせたところ、現在住んでいるお部屋の写真を送ってくださいと。写真を見たオーナーが納得して、入居が決まった方がいらっしゃいました。

 オーナーが気にしているのは、2匹だからokで、3匹だからだめということではなくて、部屋を汚されたくないということなんですね。それって部屋を人に貸す時の本質ですよね。でも本質の部分はウェブサイトに掲載されている入居条件では見えてこない。ウチコミでは、入居希望者がオーナーと直接対話できるため、そうした見えない条件をマッチングさせられます。面白いのは、アナログ同士だとマッチングするのに、デジタルだとマッチングしないこと。意外とこの例は多いですね。

――ポータルサイトでは見えない条件でオーナーと入居希望者をマッチングできるということですか。

 そうですね。例えば高齢者や外国の方、シングルマザーなど、部屋を借りづらくなっている方が増えています。この場合の本質は家賃を支払ってもらえなくなったリスクを回避したいということ。しかし実際に話してみると、定期収入があるかもしれません。そういう方を救えるのもウチコミ!ならではだと思っています。

――オーナーの方は、どういったタイプの方が多いですか。

 一言では言えませんが、複数の物件を所有している方が多いですね。先程も申しましたが、ウチコミ!を探して登録される方は、賃貸経営をよく勉強されている方がほとんどです。ですから入居者を募るために、みなさんとても工夫されています。例えば、農家をやられている方だったら、入居後の野菜プレゼントや、ウチコミを使って浮いた経費を入居者にフリーレントとして還元するなど、やり方はさまざまです。

 今までの賃貸オーナーは、物件を用意するところまでで、あとは不動産会社におまかせという方が多かったと思いますが、ウチコミ!に登録されているオーナーはそうではなくて、空室が出ないように自らも努力されている方が多いですね。

 一方、入居者の方は30代が一番多いです。ウチコミ!のメリットは一度も部屋を借りたことがない人にはわかりませんから、経験者にはメリットが伝わりやすいサービスだと考えています。

増やしたいのはオーナーと入居者をつなぐマッチング数

――オーナーと入居者をつなぎつつ、物件の内見時には不動産会社の方が立ち合うエージェント制を採用されていますね。

 地域ごとの不動産会社の方にお願いしています。現在200社ほど提携していますが、最初はこのエージェント契約を結ぶのが難しかったですね。ウチコミのサービスは一見すると地域の不動産会社と相対するように感じてしまうかもしれませんが、そうではなくて、中間が力を持ちすぎている不動産業界を健全な形にしていくのがウチコミの役割です。そういう意味では不動産会社と本質的な競争は発生しません。

 賃貸業界は、オーナーと入居者の間に不動産会社やポータルサイトが入って構造が複雑化している。中間層が増えることで、その分のコストも生じています。それは仲介手数料という形で入居者が支払っていたり、広告料という体裁でオーナーが負担しています。

 エージェントとなる不動産会社に、内見するお客さまをご紹介することで月額加盟料をいただいて、それがウチコミ!の収益になっています。現在はそこに我々が発行する賃貸経営情報誌の広告料がプラスされて、運営費となっています。

――オーナーと入居者をつなぐサービスはほかにもありますが、ウチコミの強みはどこだと考えていらっしゃいますか。

 2010年にプロタイムズ総合研究所という外装リフォームの会社を立ち上げていて、一度不動産とは違う業種に踏み込みました。その軸足を持ちながらウチコミ!を始めているので、不動産業界の商慣習とは直接関係しない場所で始められたこと、しかし、売買不動産の営業担当者だった実績をいかし、業界の流れはきちんと掴んでいることだと思います。

 似たサービスはいくつかありますが、みなさんITか不動産のどちらかに軸足があります。IT系ですと、マネタイズまでに時間がかかりますし、商慣習の部分で進まないことも多く、なかなかシステムが構築できない。一方、不動産系の会社が始めると、最終的には集客サイトになってしまう。当初のオーナーと入居者をつなぐという思いをそのまま貫けないケースが多いですね。

――売買不動産の営業担当として長く業界に携わりながら、商慣習を”独特のもの”と捉えられた要因はどこにあるのでしょう。

 2007年に米「タイム」が発表した「パーソン・オブ・ザ・イヤー」は「YOU」だったんですね。これはあなた自身という意味ですよね。個人個人が主人公、世界はそういう時代に変わってきている。それを見た時に不動産業界もこのままで続くわけがないと思いました。

――今後の展開を教えて下さい。

 オーナーと入居者のマッチング数を増やしていきたいです。それを実現する手段として物件数を増やすことは大事だと思っています。ウチコミはオーナーと入居者の両方を獲得する必要がありますが、オーナーの方の獲得は、はじめの2年程度は大変でしたが、説明会などを開催して、地道にアプローチしていくことで、掛け算的に増えていきました。一方で入居者向けにはこれといったプロモーションもしていないのですが、自然と入ってきてくれました。

 入居者が自然と増えたことには私自身も驚いたのですが、直感的に見極めていらっしゃるのかなと感じています。

 今後は、マッチング数を増やしつつ、地域を拡大していきたいと思っています。現在一都三県と、大阪、兵庫、京都、奈良(一部)、愛知、三重(一部)、福岡と展開していますので、これに加えて地方の拠点を増やしていいきたいと考えています。

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