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「電子契約でない不動産会社は選ばれなくなる」--クラウドサインが描く“印鑑レス”の未来

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 長い歴史のある既存業界を、IT技術の力で変えようというムーブメントが起きている。金融分野の「フィンテック」、そして人材管理を担う「HRテック」などが代表的なところだ。

 不動産業界でもまた、やはり「不動産テック」が注目を集めている。8月28日の「CNET Japan Conference 不動産テックカンファレンス2019」では、その中でも「電子契約」が不動産業界にもたらすインパクトについて、弁護士ドットコム取締役であり、クラウドサイン事業部長を務める橘大地氏が解説した。聞き手はNTTデータ経営研究所の川戸温志氏(ビジネストランスフォーメーションユニット シニアマネージャー)。

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弁護士ドットコムの橘大地氏
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NTTデータ経営研究所の川戸温志氏

国内シェア80%超、あらゆる契約を電子化する「クラウドサイン」

 橘氏は弁護士ドットコムの取締役だが、同時に弁護士でもある。かつては法律事務所に籍を置き、スタートアップ企業の顧問弁護士などを務めていた。また、将来的な裁判のIT化検討に向けた、国会議員らによる勉強会などにも積極的に参加している。

 企業法務にまつわる実務に長らく取り組んできた橘氏だが、日本は先進国の中でも特に電子契約の普及が進みにくい国であると指摘する。郵便が電子メールへと置き換えられたことからも明らかなように、契約書の電子化はさまざまなメリットがあるが、日本では紙と判子の文化が根強い。ただ橘氏は「我々が2015年にクラウドサインをリリースしてからは、電子契約の普及スピードは格段に速くなった」と胸をはる。

紙の契約書は、今となっては扱いが面倒になってしまった
紙の契約書は、今となっては扱いが面倒になってしまった

 契約書を巡る慣習が国によって違う背景には、例えば米国では国土の広さがある。書類の送付に物理的な時間がかかるため、契約書をPDF化して電子送信するのが主流になるが、当然それには偽造防止などの技術が不可欠。つまり米国でいち早く契約が電子化したのは「セキュリティ向上」の要請からだった。対して日本の判子文化は、正確性の確認を割り印によって行うなど、「業務効率の向上」が主なのではないかと橘氏は分析する。

 クラウドサインは、「契約書の印刷」「署名・捺印」といった種々のプロセスを、クラウド上でほぼすべて完結できるのが特徴。契約書の原本はPDFでアップロードし、相手は送られてきたメールから同意手続きを済ませられるため、契約書を送付しあったり、面会してその場で捺印するなどのプロセスが効率化できる。

 用途は不動産分野だけに限定されておらず、金融・雇用などあらゆる契約を電子化するための汎用ソリューションとして提供されている。ローンチ当初こそ苦戦したというが、大手企業での導入を契機に、中小企業にも広がっていった。2019年7月時点では導入社数が5万社を突破。月平均2500社が新たにクラウドサインを新規導入している。

クラウドサインの利用社数は5万社を突破
クラウドサインの利用社数は5万社を突破

 「(導入社増加の)ブレイクスルーとなったのは、大手金融機関での採用。もともと金融機関は紙を膨大に使っていたが、これを電子契約にして業務効率化に繋げている。また、『メガスタートアップ』でも利用が進んでいる。こうした企業では、紙の契約書をたまに受け取ると『印紙ってどこで買うんだっけ』『製本テープ持ってない』という話にもなってきている。クラウドサイン以外の契約を受け付けないところもいよいよ出てきた」(橘氏)

 国内電子契約サービスにおけるクラウドサインのシェアは、第三者機関の調べによると80%超。弁護士ドットコムは、もともと弁護士検索や法律相談プラットフォームサービスが主力事業だったが、業績に対するクラウドサインの貢献度も年々高まっていると橘氏は語る。

電子契約で先行する米国不動産業界

 川戸氏はコンサルタントの立場から、国内外の不動産テック情勢について解説した不動産テックへの投資は2014年を境に拡大しており、2018年の資金調達総額はグローバルで約200億ドル(2兆2000億円)に上る。川戸氏らが作成した日本国内の「不動産テック カオスマップ」には、307もの企業が掲載されている。

不動産テック関連の企業は国内だけで少なくとも307社を数える
不動産テック関連の企業は国内だけで少なくとも307社を数える

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