マサチューセッツ工科大学(MIT)は米国時間8月22日、不祥事を起こした投資家のJeffrey Epstein氏から、この20年間で約80万ドル(約8500万円)の資金を受け取っていたことを声明で明らかにした。この資金はEpstein氏が管理する財団から支払われ、MITメディアラボとSeth Lloyd教授に渡っていたという。Epstein氏は性的搾取を目的とする人身売買の容疑で起訴されていたが、10日に勾留中の留置所で自殺した。MITメディアラボでは、Epstein氏からの資金援助が発覚したことを受け、すでに2人の教授が辞任を表明している。
MITのLeo Rafael Reif学長は声明の中で、「たいへん残念なことに、長年にわたってMITを支えてきた手続きに従っていたにもかかわらず、われわれは今回のケースで判断を誤った」と述べている。
「今回の事態を受け、私は副学長のMarty Schmidtに、Epstein氏からの寄付にまつわる事実を調査し、将来に向けた何らかの教訓を得るための委員会を招集することを要請した。現行の手続きを再検討し、その手続きを改善するための適切な方法を勧告してもらう」(Reif氏)
MITメディアラボはEpstein氏との関わりをめぐり、スキャンダルの渦中にある。
所長の伊藤穣一氏は15日付の公開書簡で、Epstein氏から金銭を受け取ったことを認めて謝罪した。具体的には、MITメディアラボおよび伊藤氏の個人的な新興IT企業向け投資ファンドが、Epstein氏からの資金援助を受けていたという。伊藤氏はさらに、Epstein氏をMITメディアラボに招いたことや、自身が同氏の住居を訪れていたことも認めた。伊藤氏によると、同氏がEpstein氏に出会ったのは2013年だという。これはEpstein氏が売春目的での未成年者の「勧誘やあっせん」の罪を認めてから数年後のことだ。
また、人工知能(AI)分野の草分け的存在でMITメディアラボの創設者であるMarvin Minsky氏に関しても、新たな疑惑が浮上している。8月に入って公開された宣誓供述書に、Minsky氏が米領バージン諸島にあるEpstein氏が所有する島を訪問した際に、教授と性的な関係を持つように命じられたという、ある女性の証言が見つかったのだ。Minsky氏は2016年に亡くなっている。
一方、MITで機械工学および物理学の教授を務めるLloyd氏も22日、「Jeffrey Epsteinの被害者」に向けた謝罪文を投稿し、2004年にEpstein氏と夕食を共にしたことを認めた。また、その後の数年間に何度か同氏に会ったことや、同氏の財団から資金提供を受けたことを明らかにした。Lloyd氏は、Epstein氏が有罪判決を受けた後の2012年と2017年にも、Epstein氏から資金を受け取っていたという。
「このような行為は職業的にも倫理的にも誤りだった」とLloyd氏は記している。「Epstein氏が私や他の科学者を相手に行った議論に加わり続け、その寄付を受け入れることによって、私はEpstein氏の評判を守る手助けをし、被害者の方たちの力を弱めていた。私はEpstein氏ではなく、被害者の方たちに心を注ぐべきだった」(Lloyd氏)
Lloyd氏はまた、Epstein氏を告発した人たちや、性的搾取の被害にあった他の人たちのための「金銭的な支援に協力する」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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