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NTT Comとフィラメントが挑む新規事業創出プログラム「BI Challenge」

別井貴志 (編集部) 阿久津良和2019年08月19日 07時00分
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 2019年7月1日で創立20周年を迎えたNTTコミュニケーションズは、ネットワークサービスやAI/IoTを活用したサービスなど、幅広い領域のICT事業を手掛けてきた。同社はこのような既存事業のほかにも、イノベーション創出を目的としたコンテスト「DigiCom(デジコン)」など、多くの取り組みを行っている。その1つが同コンテストに参加したチームを中心に、社内起業家を育成する社内プログラム「Business Innovation Challenge」(以下、BI Challenge)。今回は同社担当者と、社外メンターとして伴走するフィラメント担当者にBI Challengeの活動や方向性を聞いた。

――まずはビジネスイノベーション推進室の役割と設立の過程をお聞かせください。

大貫明人氏(NTTコミュニケーションズ 経営企画部 ビジネスイノベーション推進室 担当課長):ビジネスイノベーション推進室は経営企画部内にあり、約2年前となる2017年10月に発足、イノベーション/新規事業創出を進めていく役割を担っています。当初は数名からスタートしましたが、現在は約20名規模となり、渡辺も2019年7月にNTTコムウェアから参加しました。私自身も2018年10月に着任しています。

 ビジネスイノベーション推進室が立ち上がった背景ですが、一言で申し上げれば“外圧”ですね。現在も売上げ利益ともにお客様に支えられていますが、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)や中国の深センに代表されるグローバルレベルの競争に苦戦を強いられています。これに強い危機感を抱いた、稲葉(同社 経営企画部 部長 稲葉秀司氏)や東出(同社 経営企画部 ビジネスイノベーション推進室長 東出治久氏)など数名により、イノベーション戦略を立てて最先端の取り組みに追従し全社展開することで、グローバル企業と戦える実力/文化を醸成する目的で作られました。

NTTコミュニケーションズ 経営企画部 ビジネスイノベーション推進室 担当課長 大貫明人氏
NTTコミュニケーションズ 経営企画部 ビジネスイノベーション推進室 担当課長 大貫明人氏

――お二人はビジネスイノベーション推進室へ移られる前は何をなされていましたか。

大貫氏:25年ほど前は筑波にあります研究所におり、現フレッツ光の基盤となる光配線設備に関する研究開発に従事していました。その後は、日本電信電話(以下、NTT)の再編成に伴い、NTTコミュニケーションズに在籍していますが、NTT持株会社に人事交流にて行きまして、研究開発を統括する部署に一時期おりました。ここで、研究開発成果をNTTグループ事業企業へ提供し、その先にいるお客様にお届けする“BtoBtoX”という概念に触れることで、事業会社の先にいる企業や消費者を強く意識して開発しなければならないと考えるようになりました。

 この時、事業会社やお客様をフォローする“プロデューサー制度”の導入定着に携わり、これが大きな経験になっていますね。その後もNTTコムウェアにも人事交流にて行きまして、昨年、NTTコミュニケーションズに戻ってきましたが、ここではNTTグループにおける社内システム開発を受託するなど、“縁の下の力持ち”な業務も経験してきました。私としては、社内システムのみならず、事業会社の先にいるお客様とパートナーシップを結んで新たなビジネスを作っていきたいと考えていましたが、言葉にするとキレイですが屍(しかばね)の山を歩んできました(笑)。

渡辺昌寛氏(NTTコミュニケーションズ 経営企画部 ビジネスイノベーション推進室 担当課長):所属していたNTTコムウェアはNTTなど受託したシステムを開発するSIer(システムインテグレーター)の会社です。19年間、そこで技術畑を歩んできました。入社時に研究開発部に配属されてから、組織名は変わっていきましたが、人事異動は一度もありませんでした。2010年にMITメディアラボでUIに関する共同研究する機会があり、そのとき強く感じたのが、“いかにユーザー=お客様に使ってもらえるか”という視点です。そこから新規ビジネスへ舵を切ったところ、元上司だった大貫さんと一緒に働くことになりました。

NTTコミュニケーションズ 経営企画部 ビジネスイノベーション推進室 担当課長 渡辺昌寛氏
NTTコミュニケーションズ 経営企画部 ビジネスイノベーション推進室 担当課長 渡辺昌寛氏

――お二人とも技術畑を歩んできたんですね。ビジネスイノベーション推進室に携わることになった感想をお聞かせください。

大貫氏:もともとはエンジニアですが、“新規事業はどうあるべきか”はライフワークとして取り組んできました。現部署より戻って来るように言われました時は、NTTコムウェアにも名残はかなりありましたが、必要とされる場所で少しでも役立てればと思い、現在に至っています。

渡辺氏:僕もほぼ同じですが、NTTコムウェアでもがきながら仕事に取り組んでおり、大貫さんの部下だった時も結果がなかなか出せない状態でした。今回、自分の成長につながる機会であるとともに、大貫さんの下で結果を出しリベンジしたいと思い参加しました。今ももがき続けていますが、楽しくやらせていただいています。

――ビジネスイノベーション推進室に参加してから、どのような活動を行ってきましたか。

大貫氏:着任時に言われたのは「新規事業創出を下支えするような全社プログラムを作れ」です。早速、新規事業創出を目指す個人やチーム向けに、サービス/プロダクト開発に必要となるリソースやメンタリングの場などを提供するプログラム「BI Challenge」を立ち上げました。ビジネスイノベーション推進室に参加した初月の出来事で、フィラメントさんにお会いしたのも着任翌日の話しです。当時は社員証も名刺も無い状態でしたが、取り急ぎ会いに行きました。設立から1年弱経ちましたが、現在は設立から1年弱経ち、事務局メンバーも8名程度(本プログラム上のプレイヤーとの兼務あり)となり、フィラメントさんをはじめとする協業企業にも支えられ、国内に限定すれば新規事業支援プログラムの平均値までは持って来られたと考えています。

渡辺氏:僕はオフィサーと呼ばれる事務局の仕事として、BI Challenge参加チームの伴走に取り組んできました。参加チームのより良いサポート方法を常に考え、改善しています。もう1つの仕事は新規事業を創出するプレーヤーです。スポーツファン向けのモバイルアプリ「SpoLive(スポライブ)」もBI Challengeから生まれた社内プロジェクトですが、エンジニアの経験を生かして僕もコーディングなどに参加しています。

大貫氏:フェーズはさまざまですが、現在20チーム弱の新規事業に取り組んでおり、彼(渡辺氏)は先頭を走っているチームに参加しています。プログラムの事務局ながらもプログラムのプレーヤーなので、双方を理解して適切なフィードバックをもらっています。

――BI Challengeに参加しているフィラメントの概要をお聞かせください。

佐藤啓一郎氏(フィラメント 取締役CXO):弊社は新規事業コンサルティングですが、事業単体ではなく、人に焦点を当てて、事業を生み出す人を作っていくことを目標にしています。ここが他社と違う点でしょうか。ただ、スタッフ数もさほど多くありません。これまでのメンタリングも小規模だったケースが多く、今回お話しをいただいたときは正直「僕らで対応可能だろうか」と思いました。

 いざ始めて見ると、良い意味で裏切られました。非常に(NTTコミュニケーションズ側が)協力的で僕らも助けられる場面は少なくありません。少しの言葉で多くの反応があり、毎週実施するメンタリングでも、翌週には成果を持ってきます。「前回のメンタリングを受けて検討しなおしました」「紹介してもらった企業に会ってきました」など対応が素早く、大企業への対応を学べました。

 よくよく考えたら、NTTコミュニケーションズさんは今年で20周年を迎えますが、20年という期間を踏まえるとまだまだベンチャーですよね。20年前にさまざまなサービスを立ち上げてきた方々が社内におり、その空気が社内に充満しています。弊社メンバーも若手とは言えませんので、話しをすると自分たちも刺激を受ける場面が少なくありません。一方が教えるメンタリングではなく、丁々発止と渡り合える良好な関係ですね。

フィラメント 取締役CXO 佐藤啓一郎氏
フィラメント 取締役CXO 佐藤啓一郎氏

――NTTコミュニケーションズとフィラメントが出会ったきっかけは何でしょうか。

大貫氏:毎年開催しているDigiComは今年も600~700人、100チーム強が応募してくれています。2018年開催時に角さん(フィラメント 代表取締役CEO 角勝氏)を社外審査員として招聘(しょうへい)したのがきっかけです。その直後にBI Challengeの取り組みを始めました。角さんの審査員としての評判が高かったため、先ほど述べましたように着任翌日に会いに行きました。ですのでフィラメントさんとのお付き合いは2018年秋に実施したDigiComからですね。

佐藤氏:自分はDigiComに参加していませんが、大企業さんの社内コンテストってお決まりじゃないですか。うちの角も同じ考えで参加したところ、帰ってきた途端に「全然違う。みんな試作品を作り、参加人数も熱量もすごい」と激しく語り出します。それを踏まえてのBI Challengeなので楽しみにしていました。

――現在、約20チームがBI Challengeでプロジェクトを進めています。DigiComとの関係性をお聞かせください。

大貫氏:はい。去年以前のDigiComに参加したチームが主力の一期生、今年9月のDigiComから二期生を応募する予定ですが、有望なチームを事前に誘いをかける“ドラフト候補生”と伴走しています。このドラフト候補生を含めて約20チームですね。DigiComとBI Challengeの関係ですが、DigiComが主体として存在し、参加者から「本気で事業化したい」という方々を集めたのがBI Challengeです。

 DigiComは経営企画部内のデジタル・カイゼン・デザイン室が携わり、BI Challengeは我々ビジネスイノベーション推進室の担当なので、“双子の兄弟”のような関係ですね。角さんにはBI Challengeのオブザーバーとして、今年も決勝戦の社外審査員を務めていただきますし、私もその前段となる予選会4日間、朝から晩まで審査員を務めます。

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