直径約140万kmの太陽は、太陽系の中心に位置している巨大なプラズマボールだ。太古の時代から数千年間にわたって、人間は太陽を研究しており、探査機を送り込んで着陸を試みたりもしている。太陽の最も興味深い面の1つは、その磁場が太陽系全体にどのような影響を及ぼすかという点だ。ウィスコンシン大学マディソン校の研究者らはこのプロセスをより深く理解したいと考え、独自の「ミニ太陽」を製造した。
英学術誌「Nature Physics」に現地時間7月29日に掲載された論文で詳述されているこの製造物は、直径わずか3mと実際の太陽の何百万倍も小さく、銅線と鋼鉄を張りめぐらされた人間の脳のように見える。
研究者らはこの製造物を「Big Red Ball」と呼び、実際の太陽の組成分の1つであるヘリウムガスを注入し、プラズマを作るためにイオン化する。ボールの中心にある磁石が磁場を作り、研究チームがボールに電流を流すと、本物の太陽のプラズマや磁場の通常の動きをボールが実際に模倣する。
「衛星ミッションにより高速の太陽風の発生場所をかなり良好に記録できたので、われわれは低速の太陽風がどのように発生されるかやどのように発達して地球に届くかを特に研究しようと試みていた」と、この研究の主執筆者でウィスコンシン大学の大学院生であるEthan Peterson氏はプレスリリースで述べた。
研究者らは、太陽から太陽系に放出される粒子である太陽風に注目した。ボール内で、太陽から太陽系全体にらせん状に放出される磁場である「パーカースパイラル」を再現することができた。Peterson氏は、チームによるこの再現をスパイラルの「大縮尺の地図」と呼び、磁場がどのように太陽のプラズマ流によって作られるかを確かめた。
研究者らはさらに、低速の太陽風を増幅させる小型で周期的なプラズマの放出である「burps」(げっぷ)を識別することができた。プラズマの回転により、チームは磁場やプラズマの速度を綿密に調べた。
「プラズマの放出は衛星で観測できるが、その動力源については誰も知らない」とPeterson氏は述べ、「われわれは最終的に実験で非常によく似たburpsを確認し、その発達の過程を特定した」とした。
Big Red Ballの実験は、太陽をより深く理解するという既存のミッションを補足することを目的としている。米航空宇宙局(NASA)の探査機「パーカーソーラープローブ」は現在、太陽大気と太陽風にまつわる謎を解明すべく、太陽を周回している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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