Googleのセキュリティチーム「Project Zero」の研究者2人によって、「iOS」に潜んでいる、「インタラクションを必要としない」セキュリティ脆弱性が6つ発見された。これら6つの脆弱性のうちの5つについて、このほど詳細な情報とPoC(概念実証)コードが公開された。なお、これらの脆弱性は「iMessage」クライアントを通じて悪用できるという。
6つの脆弱性はすべて、米国時間7月22日に配信が開始された「iOS 12.4」で対処されている。
ただ、これらの「インタラクションを必要としない」脆弱性を発見、報告したProject Zeroの研究者の1人であるNatalie Silvanovich氏によると、6つの脆弱性のうちの1つは、iOS 12.4では完全に対処されていないため、詳細の公開を控えているという。
同氏によると6つの脆弱性のうち4つは、悪用することで、ユーザーのインタラクションを必要とせずに、遠隔地から悪意あるコードをiOSデバイス上で実行できるようになるものだという。攻撃者は、被害者の端末に特定形式のメッセージを送信するだけでよく、ユーザーが届いたメッセージをオープンし、読もうとするだけで悪意のあるコードが実行される。
4つの脆弱性にはそれぞれ、「CVE-2019-8641」(詳細は非公開)と「CVE-2019-8647」「CVE-2019-8660」「CVE-2019-8662」という共通脆弱性識別番号が割り当てられている。リンク先の脆弱性レポートには、それぞれの脆弱性に関する技術的な詳細とともに、脆弱性を突くうえで使用できるPoCコードが記載されている。
5つ目と6つ目の脆弱性である「CVE-2019-8624」と「CVE-2019-8646」を悪用することで、攻撃者はデバイスのメモリーからデータを漏えいさせたり、リモートデバイス上のファイルを読み取ることができるようになる。これらもユーザーとのやり取りは発生しない。
セキュリティアップデートが公開された場合、速やかに適用することが望ましいのは言うまでもない。そして今回は、PoCコードが公開されているためユーザーはすぐさまiOS 12.4をインストールするべきだ。
これら6つの脆弱性を発見したのは、Silvanovich氏と、Project Zeroにおける同僚であり、セキュリティ研究者のSamuel Gros氏だ。
Silvanovich氏は、8月3日からネバダ州ラスベガスで開催されるセキュリティカンファレンス「Black Hat USA 2019」の場で、インタラクションを必要とせずに遠隔地から悪用できるこれらの脆弱性に関するプレゼンテーションを実施する予定だ。
同プレゼンテーションの概要には「このプレゼンテーションでは、インタラクションを必要とせずに遠隔地から利用できる、iOSの攻撃対象領域について探求する。また、SMSやMMS、Visual Voicemail、iMessage、『メール』における脆弱性の可能性についても考察し、これらのコンポーネントをテストするためのツールの設定方法を解説する。さらに、こういった手法を用いて発見した脆弱性の事例2つについても紹介する」と記されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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