Facebookの「いいね!」ボタンは、インターネットで特に複雑なツールには見えないかもしれない。だが、この上向きの親指には、見た目以上の機能がある。たとえば、企業の中には、自社サイトに「いいね!」ボタンをプラグインとして組み込み、ユーザーのデータをFacebookに送信しているところもある。だが、欧州連合(EU)の最高裁判所にあたる欧州司法裁判所はルクセンブルクで現地時間7月29日、そのような企業がデータ送信についてFacebookと共同責任を負うとする判決を下した。
この判決は、自社サイトに「いいね!」ボタンのプラグインを設置したドイツのオンラインファッションストアFashion IDをめぐる裁判で下されたものだ。Fashion IDは、同社サイトを訪れたユーザーのデータを、「いいね!」ボタンを押していないユーザーやFacebookに登録していないユーザーのデータも含め、ユーザーに通知することなくFacebookに送信していたと、裁判所は述べている。
欧州司法裁判所が公開した判決文によれば、Fashion IDなどの企業は、Facebookに渡された後のデータの処理について責任を負うことはできないが、データが「Facebookに送られ、収集および開示されるプロセスに関わる活動」に対して責任があるという。
この判決により、「いいね!」ボタンなどのプラグインを使ってEU圏の人々のデータをFacebookや他のソーシャルネットワークに送信するすべてのウェブサイトは今後、事前にユーザーから明示的な同意を得なければ、2018年に施行された一般データ保護規則(GDPR)の厳格な基準を順守できないことになる。GDPRでは、個人データを収集するためにはユーザーから明示的な同意を得ることが必要とされている。
「本日の判決が、プラグインや類似のツールを利用するウェブサイトとプロバイダーの両方に対して明確な判断を下したことを歓迎する」と、Facebookの副法務顧問を務めるJack Gilbert氏は述べた。「今回の裁判所の判決を慎重に確認しており、今後は提携先と緊密に連携しながら、提携先が規則を完全に順守しながら、当社のプラグインや他のビジネス向けツールを引き続き活用できるようにしていく」(同氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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