米議員らが米国時間7月16日、2020年に新しい仮想通貨「Libra」を発行するFacebookの計画に懐疑的な見解を表明し、世界最大のソーシャルネットワークであるFacebookを悩ませ続ける信頼問題を浮き彫りにした。
多くの上院議員が米議会の公聴会で、Facebookのブロックチェーン担当責任者であるDavid Marcus氏に対し、プライバシーとセキュリティの問題をたびたび起こしてきた過去を鑑みると、同社を信用できないと述べた。議員らは、選挙への介入に利用されたり、ミャンマーでの大虐殺を煽ったヘイトスピーチの助長に一役買ったりするなど、Facebookの過去のスキャンダルを並べ立てた。
Sherrod Brown議員(オハイオ州選出、民主党)は、Facebookをマッチで遊ぶ幼児に例えた。
Brown議員は「Facebookは家を何度も全焼させ、すべての放火を学習体験と呼んできた」と述べ、仮想通貨の発行が「悪い考え」で、Facebookは「危険」だと非難した。
Marcus氏は、Facebookによる仮想通貨の計画について弁解し、規制当局の懸念に対処するまでLibraを発行しないと誓った。ただし同氏は、Facebookが引き続きLibraと、Libraを保管するデジタルウォレット「Calibra」を開発する計画を進めることを示唆した。
Marcus氏は、上院の銀行・住宅・都市問題委員会に先だって次のように述べた。「米国がデジタル通貨と決済の分野で革新を主導しなければ、他の国がそうするだろう」
このコメントは一部の議員の共感を呼んだようだ。そうした議員らは、仮想通貨は送金にかかる費用の引き下げや資本の入手のオープン化に役立つ可能性があると述べた。
同委員会のメンバーであるPatrick Toomey上院議員(ペンシルベニア州選出、共和党)は、次のように述べた。「私見だが、われわれはこれについて検討し、恩恵とリスクを考慮して、慎重に取り組むべきだ。(中略)だが、この生まれたての計画を抹殺しなければならないと事前に発表するのは、あまりにも早計だと私は思う」
Facebookは27の他のパートナーと共同でLibraを発行するとMarcus氏は述べたが、この回答がFacebookを信頼すべき理由として議員らを安心させたようにはみえない。同氏はまた、この通貨を管理するLibra Associationがスイスに本部を置くのは、「われわれの監督責任を回避するためではなく」、同国が国際金融機関の集積地となっているためだと述べた。Marcus氏によると、Facebookは将来、デジタルウォレットCalibraのユーザーが金融取引データを別のデジタルウォレットに移行しやすくするという。ただし、Calibraと連携する「Messenger」や「WhatsApp」内で他のデジタルウォレットを組み込む計画はない。
Marcus氏は証言の中で、プライバシーの問題に関してはスイス連邦データ保護情報委員会(FDPIC)がLibra Associationを規制することになると述べた。しかし、FDPICの広報担当者はCNBCの取材に対し、Libra Associationから連絡は受けていないと話した。
FDPICの広報責任者であるHugo Wyler氏はCNBCに対し、「われわれはFacebookまたは(Libraの)のプロモーターから、しかるべき時に明確な情報が提供されることを期待している」と述べた。「その時になって初めて、われわれの法的助言や監督能力が及ぶ範囲を精査できるようになる」(Wyler氏)
米CNETはFacebookにコメントを求めたが回答は得られていない。Facebookの広報担当者は、同社がFDPICにまだ連絡していないことを認めた。
また、議員らは公聴会の中で、Libraがテロリストに悪用されたリ資金洗浄に使われたリすることへの懸念を示した。Marcus氏によると、Calibraユーザーは政府発行のIDを提示して本人確認を行うよう求められるという。
質疑に対するMarcus氏の回答の中には、詳細があまり含まれていないものもあった。
Robert Menendez上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)はFacebookに対し、デジタルウォレットのデータをFacebookから切り離しておく仕組みについて質問した。
Marcus氏は、「CalibraのデータをFacebookの他の部分から切り離しておく手段については、実際に当社のインフラストラクチャー内でデータをFacebookの他のインフラストラクチャーと隔てている」と答えた。Facebookは、Calibraデータを広告ターゲティングには利用しないと表明している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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