現場でのナレッジトランスファー(知識の伝達)を支援するウェアラブルヘッドセットを手がけるRealWearは、シリーズBの資金調達ラウンドで8000万ドル(約86億3000万円)を調達した。RealWearが調達した資金は総額1億ドル(約107億9000万円)を超えた。
Qualcomm VenturesやBose Venturesなどが資金を提供した。
RealWearは、産業用ウェアラブルコンピューターを製造している。新型「Google Glass」のようだが、特に現場のさまざまな場所に派遣されることの多い企業の作業員向けに設計されていると考えればよいだろう。RealWearの主力製品「HMT-1」は、「Android」タブレットを備える耐久性のあるヘッドセットで、必要最小限の機能しか備えていないが、まさにその点で競合製品よりすぐれている。
この技術はまさに良いタイミングで登場している。DeloitteとManufacturing Instituteによると、製造業の雇用は2017年半ば以降急増しているが、技能の不足により2028年までに240万もの職が埋まらない可能性があるという。
拡張現実(AR)技術は、まだエンタープライズ分野に入り込む足がかりを作ろうとしている過程にあるが、現場で働く作業員に対する知識伝達を強化するという点で有用だ。ARを利用した知識の伝達は、図解をオーバーレイ表示して現場の作業員を支援する、本部にいる「ベテラン」のエキスパートが現場の作業員を指導するなど、あらゆる形が想定される。
こうした技術を提供しようとする競争は加熱しており、VuforiaやGoogleは、自動化の助けを借りながら、やはり人が中心となるような次の産業革命に向け、ヘッドセットを提供しようとしのぎを削っている。たいていの技術分野と同様に、多くの企業は最も機能が充実したハードウェアを提供しようと競争してきたが、RealWearはそれとは異なる方針を採ってきた。
IDC GroupのデバイスおよびAR/VR担当バイスプレジデントであるTom Mainelli氏は、次のように述べている。「法人向けのAR市場は、何度も空騒ぎを演じてきたが、現実世界で長期的に使えるソリューションは数が少なかった」「RealWearは、賢明にも無駄な機能のないヘッドマウントディスプレイに対する需要を認識し、現場の労働者がもっと安全に効率よく仕事をこなすのに役立つ実用本位の製品を提供してきた」
RealWearはこれまでに1万5000以上のユニットを出荷し、この分野で人気の技術プロバイダーとなり、Qualcomm Venturesなどの投資家の関心を引き付けている。
「RealWearは安定した成長を遂げており、あらゆる業界のコネクテッドワーカーのための主要なプラットフォームを提供する体制を整えている」と、Qualcomm TechnologiesのディレクターならびにQualcomm Venturesの投資ディレクターであるRichard Tapalaga氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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