UPDATE 米連邦控訴裁判所は米国時間7月3日、Amazonは同社のマーケットプレイスでサードパーティー業者が販売する不良品に対して責任を問われる可能性があるとの判決を下した。サードパーティー業者の売り上げは、Amazon.comのEコマース事業の大きな部分を占めており、この判決はAmazonに深刻な影響を与える可能性がある。
フィラデルフィアの第3巡回区控訴裁判所が今回の判決を下した。欠陥のある犬の首輪が原因で顧客がけがを負ったことについて、ペンシルベニア州法に基づきAmazonに法的責任はないとした下級審の判決を覆した。
同裁判所のJane Richards Roth判事は、「同社はサードパーティー業者が販売する商品のためのオンラインマーケットプレイスを提供しているだけなので『販売者』ではないと主張しているが、異議を唱える」とした。
Amazonは判決についてコメントを控えた。
2つの連邦控訴裁判所の判決を含め、他の複数の裁判所が、サードパーティー業者が販売した商品について販売者としての法的責任をAmazonに問うことはできないとの見解を示しており、今回の判決は、それらとは正反対のものだ。
AmazonがEコマース事業を大規模に展開しているが、サードパーティー販売業者に依るところが大きい。最高経営責任者(CEO)のJeff Bezos氏は株主宛ての最近の書簡の中で、2018年にサードパーティー業者がAmazonで販売した商品の流通総額の割合は58%だったとしていた。
3日の判決は、ペンシルベニア州在住のHeather Oberdorfさんの訴えに端を発している。Oberdorfさんは2014年にAmazonで、「The Furry Gang」というサードパーティー業者が販売する犬の首輪を購入した。2015年初頭、犬の散歩をしている際にこの首輪が壊れた。首輪に付いていた収納式のリードが跳ね返って彼女の顔に当たり、左目の視力が恒久的に失われたという。The Furry Gangは2016年5月以降、Amazon.comにアクティブなアカウントがなく、OberdorfさんもAmazonも関係者と連絡が取れていない。
Oberdorfさんは、厳しい製造物責任、怠慢、保証違反、虚偽表示などを訴え、Amazonを提訴した。
控訴裁判所は、4つの要因に基づき、Amazonは商品に対する厳しい責任を負うと判断した。まず、The Furry Gangの所在地を特定できないことから、「けがを負った原告が現時点で補償を求めることのできるマーケティングチェーンの組織はAmazonのみとなっている」。また、「Amazonは独自の裁量に基づいて、同社のウェブサイトから安全性に欠ける商品を削除することが完全に可能である」。
同裁判所はさらに、「Amazonは、不良品の報告を受けられる唯一の立場にあり、それに基づいて、そのような商品が流通しないよう削除できる」と述べた。また、「Amazonは、サードパーティー業者がもたらすリスクを考慮して、サードパーティー業者に課す手数料を調整できる」とした。
控訴裁判所は、サードパーティーのベンダーの製品情報について、Amazonは連邦通信品位法(Communications Decency Act:CDA)によって免責されるという米地方裁判所の判断に、部分的に同意した。
Amazonの広報担当者は、控訴裁のAnthony Joseph Scirica判事が述べた反対意見の中にある次の言葉を強調した。
「Amazonのマーケットプレイスの商品は、提訴される可能性があるサードパーティーの販売業者によって販売されている」「オークションに出された商品の販売者がそうであるように、そうした販売業者は、提訴の時点までに廃業または破産している可能性、あるいは所在地が特定できない可能性がある。しかし、この要因を適用するにあたってペンシルベニア州の最高裁判所が指摘したように、『損害賠償の支払い能力という理由のみによって責任を負わせるのは、当法廷の法理と矛盾する』」
Scirica判事は、Amazonが欠陥の有無について製品を調べ、販売業者を監視下に置くべきなのであれば、「今あるAmazonマーケットプレイスとは根本的に異なるものとなるだろう」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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