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自らの創業経験を活かし企業成長を支援するイグニション・ポイント

別井貴志 (編集部) Emi KAMINO2019年07月03日 08時00分
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 コンサルティング事業及びイノベーション事業を展開するイグニション・ポイントは、社会的課題や生活者のニーズ、事業課題に対し、ビジネスの知見や新たな顧客価値を創出するクリエイティブ、先端デジタル技術活用などを通じて自ら事業を創出すると共に、大企業や成長企業の変革、イノベーションの共創などを支援している。

 「創造的破壊をもたらす『リアル×ネット』事業の創出を行うイノベーション集団であり、クライアントの変革と価値創造をもたらすコンサルティングファーム」と掲げている同社の創業者の1人で、代表取締役社長兼CEOの青柳和洋氏に、これまでの経歴やイノベーションに対する考え方などを聞いた。青柳氏は同社を創業した後も、1年後の2015年にスマート・セキュリティ「Secual(セキュアル)」を設立するなど、毎年1社のペースで次々と新しい企業を設立したり、新規事業を起こしたりしている。

イグニション・ポイントの代表取締役社長兼CEOである青柳和洋氏
イグニション・ポイントの代表取締役社長兼CEOである青柳和洋氏

――イグニション・ポイントの成り立ちについて教えてください。

 もともと子ども時代から起業する意志があって、30歳で起業に挑戦しようとなんとなく決めていました。それから大学卒業後に入社した前々職のISID(電通国際情報サービス)時代にイントレプレナーとして事業をいくつか担当してきましたが、イントレプレナーといっても例えば従業員の評価基準や採用基準など、運用の部分まではどうしても裁量を持てませんでした。ビジネスを成功させるのであればそうした部分にまで深く関わらなければ難しいという思いがあって、歯がゆさを感じていたのです。その時にはすでに今の事業の構想は頭にありました。しかしコンサルタントとしてのキャリアはなかったので、まずはそのキャリア形成と仲間づくりのために、デロイト トーマツ コンサルティングに転職しました。そこで現在のメンバーと知り合い、1年ぐらいでイグニション・ポイントを起業するに至りました。

 コンサルティング企業というのは非常に優秀な人財が集まってくるのに、短期間で離職してしまう人も多いんです。コンサルティング企業を転々とするタイプもいれば、事業会社のビジネスに飛び込み、自ら中心になって経営企画から携わっていく人など、転職の理由はさまざまなのですが、自分の中ではビジネスというのは必ず人が作っていくものだという思いがあります。組織の成長を考えると短期での離職が相次ぐことは大きなリスクでもあるので、そういう人たちの興味を引き続け、集まり続けるような環境づくりが不可欠だと考えています。

 そこで、転職したいと思った時には外で果敢にチャレンジができて、戻りたいと思った時には受け皿にもなれるような、シームレスで大きな枠組みを作りたかったのです。優秀な人たちが集まり続ける集合体としてのイグニション・ポイントの中で、自分たちが“着火点”となって常に新しいものを生み出していき、それらがさらに大きな経済圏を構築していくような世界を作っていきたいと思っています。

――企業理念で「ゆたかさ」を掲げていますが、どういった意味でしょうか。

 企業理念としては「ゆたかな人生のきっかけを」というメッセージを掲げています。“豊かさ”を定義するのはかなり難しいですが、短期的な想像しやすい目標を定めてすぐに達成してしまうかたちにしたくなかったのです。100年も200年も追い続けられるような目標を掲げなければ駄目だと思っています。

 「人は何のために働いているのか?」を徹底的に追求すると「自分の満足感」や「豊かさのため」にたどり着くのではないでしょうか。もちろん「生活のために稼がなければならないから」という人もいるでしょう。しかし、それをさらに突き詰めていけば「自分らしく生きる」や「もっと家族と一緒に過ごす」、「もっと自分の気持ちを表現する」、「もっと友人との関係を継続する」、「もっと挑戦する」など、それらはすべて“豊かさ”に集約されると思います。その“豊かさ”を追求する場所として弊社を見てもらいたいのです。

――青柳さんは新規事業の創出やイノベーションを起こすことに注力していますが、“イノベーション”をどう解釈しているのでしょう。

 従来とは違うやり方でブレークスルーすることだと理解しています。イノベーションの中には「連続成長」と「非連続成長」がありますが、前者はイノベーションというイメージをあまり持っていません。過去の努力の延長とか、ちょっとしたアイデアの変更に分類されると思っています。

――コンサルティング事業の現況は?

 大企業の新規事業サポートの案件が最近かなり増えてきています。新規事業を生み出すための仕組み作りや、オープンイノベーションの支援などです。オープンイノベーションがまだ進んでいない日本では「どうやってスタートアップ企業と付き合ったらいいか」を非常に悩んでいる大企業が多いです。一方でスタートアップ企業も同じように大企業との付き合い方に悩んでいることがあります。双方を結びつけるような課題解決の支援もしています。

 こうした支援をしているコンサルティング企業は国内で2、3社ありますが、かなりカジュアルにやっていたり、かなり深く入り込んでやっていたりと両極端です。大企業経験が弱かったり、スタートアップに弱かったり、バランスのよい企業があまりない印象です。そのような中で弊社では自らがスタートアップを実際に創業し成長を遂げてますし、経営コンサルティング事業を通じて大企業とのネットワークも有しているので、この2つの架け橋になることが次のフェーズでの役割です。

――新規事業を生み出すのに重要なことは何でしょう。

 私自身がスタートアップとして起業した経験も含めていうと、そもそも新規事業のアイデアが出る人と出ない人に分かれると思います。アイデアというのはクリエイティブなことなので、“感性”であって“テクニック”でどうにかなるものではありません。アイデアを量産するならば、出る人からいかにいいアイデアを引き出せるかが重要でしょう。弊社で立ち上げているスタートアップは私がほとんどアイデアを持っていましたが、組織が大きくなってきたこともあって量産するフェーズに移行しなければなりませんので、その仕組みを今少しずつ考え始めているところです。

 そのやり方の1つが、アイデアを出す人とそのアイデアを執行する人を完全に分けることだと思っています。新規事業を立ち上げる直前まではアイデアを出す人がたくさんアイデアを出して、始まったら“ゼロイチ”をやることが得意なプロのスタッフに任せて、専門分野別に仕切っていくのが大企業ではうまくいくのではないでしょうか。ただしスタートアップでは、アイデアもあるしやりきる能力もある“スーパーマン”的な人が成功すると思います。

――新規事業をやりきる人には、どんな特徴がありますか。

 スタートアップの立ち上げにおいて自分の仕事をやりきれる人の特徴は、立ち上げのフェーズではこれまでに経験のない辛い状況がつぎつぎと襲ってくるので、それまで育った環境の中で「いかに過酷な経験をしてきたか」と「いい経験をしてきたか」の振れ幅の大きさを持っている人なのではないでしょうか。その振れ幅があればどんな状況でも乗り越えられるのではないかと思います。

 それから、組織の中で新規事業の立ち上げがうまく進まないという話もよく聞きますが、すごく単純に「トップダウンで実行されないから」でしょう。社長がしっかりコミットすれば立ち上がると思います。これは副社長でも駄目で、やはり本当の経営トップが動かないとうまくいきません。そのため弊社で新しく会社を設立する場合には物理的にも、また資本や運営体制といった面でも、完全に別会社として独立して動いてもらうようにしています。

――思惑に近く30代で起業されましたが、今後40歳、50歳の節目での計画はありますか。

 起業してから最初の10年間で企業をできるだけ多く設立して、できるだけ速く成長させていくというのはもともと思っていました。とはいえ、今後10年でやりきる能力は衰えていくと考えています。というのも、自分自身に成功体験があればあるほど、小さな成功ではもはや満足できなくなってしまうからです。生み出したスタートアップの業績も組織も毎年のように倍増で成長していき、たとえば3億円の資金調達ができるようになったとします。そうなればその次のスタートアップで1000万円の調達ができたと言っても、以前のようには盛り上がれないでしょう。

 こうした考えから、これまでの5年で企業を作れるだけ作ってきていい経験をしてきたので、順次、投資側や仕組みを作る側にまわりたいと思っています。既にエンジェル投資をしたり、投資会社を設立したりしました。今後は投資のスキームを構築して、自分の経験を体系化したり仕組み化したりして、より成功体験を高められるようなサイクルをつくれたらと思っています。

――最後に、青柳さんにとって企業理念にある“ゆたかさ”とはなんでしょう。

 究極は、死ぬ時に「やりきったな」と言えることですね。細かいことを挙げたら多分たくさんあると思うのですが、一番身体が動いて元気なうちに思いつくことを全部ちゃんとして、ひと通り振り返った時に「悔いなし」と言って死んでいくのが一番いいなと考えています。

「今後は投資のスキームを構築して、自分の経験を体系化したり仕組み化したりして、より成功体験を高められるようなサイクルをつくりたい」と青柳氏
「今後は投資のスキームを構築して、自分の経験を体系化したり仕組み化したりして、より成功体験を高められるようなサイクルをつくりたい」と青柳氏

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