米連邦議会に、テクノロジー企業に対して政治的な中立性を証明するよう圧力をかける新たな法案が提出された。テクノロジー企業は、自社のプラットフォームで公開されているコンテンツに対する法的責任を免除されているが、今回の法案はこの免責特権の撤廃を目指すものだ。
Josh Hawley上院議員(ミズーリ州選出、共和党)は米国時間6月19日、「Ending Support for Internet Censorship Act」(インターネット検閲支持廃止法)と題する法案を提出した。この法案の狙いは、1996年に制定された連邦通信品位法(Communications Decency Act:CDA)の第230項に規定された、テクノロジー企業に対する自動免責条項を撤廃することにある。CDAの第230項は、FacebookやTwitterなどのオンラインプラットフォームを、ユーザーによって投稿されたコンテンツに対する法的責任から保護している。だが、新しい法案の下で免責を受けるには、テクノロジー企業は外部監査を受け、自社の慣行が政治的に中立であることを米連邦取引委員会(FTC)に証明する必要がある。
NEW → Sen. Hawley released a new bill that will remove the immunity big tech companies receive under Section 230 unless they submit to an external audit that proves that their algorithms and content-removal practices are politically neutral. https://t.co/s2SGsmnZZm pic.twitter.com/3o1UtpBh5b
— Senator Hawley Press Office (@SenHawleyPress) 2019年6月19日
この法案の対象となるのは、大手のテクノロジー企業のみだ。具体的には、月間アクティブユーザー数が米国で3000万人以上、全世界で3億人以上あり、全世界の年間売上高が5億ドル(約540億円)以上ある企業と規定されている。この基準に満たない企業は引き続き自動免責の対象になる。
「第230項により、テクノロジー企業は他のどの業界でも得られない有利な取り決めのメリットを享受している。政治的検閲のないフォーラムを提供する見返りとして、従来の出版社に課せられている法的責任を完全に免れているのだ」とHawley氏は述べ、「大手テクノロジー企業は、この取り決めにおいて自らに与えられた責任を果たせていない」と指摘した。
FacebookとTwitterはコメントを控えた。
1996年に制定されたCDAは、当時下院議員だったRon Wyden現上院議員(オレゴン州選出、民主党)が下院に提出したものだ。そのWyden氏は19日に投稿したツイートで、Hawley氏の法案は言論の自由を定めた米国憲法修正第1項に違反しており、連邦政府を「言論を取り締まる警察」にするものだと主張した。さらにWyden氏は、Hawley氏は第230項を理解していないとも述べている。
CDA 230 lets private companies take down inappropriate third-party posts without incurring liability. It's designed to protect companies from floods of lawsuits, the sort that kill innovation in its infancy. Republicans used to fight tooth and nail for these protections.
— Ron Wyden (@RonWyden) 2019年6月19日
Facebook、Twitter、Googleなどのテクノロジー企業が名を連ねる、公共政策に関する業界団体のThe Internet Associationは、同団体に属する企業はHawley氏と同じ目標を目指しているものの、同氏の法案の内容には反対していると述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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