このInstagramの動画は、Facebookの最高経営責任者(CEO)のMark Zuckerberg氏がビッグデータの威力について短いスピーチをする場面を撮影したもののように見える。
「何十億もの人々から盗み出したデータ、すべての秘密、人生、未来を1人の男が完全に掌握している状況について、少し想像してみてほしい。それはすべてSpectreのおかげだ。データを掌握するものが未来も掌握する、ということをSpectreは私に教えてくれた」
Zuckerberg氏がそうした言葉を発したことは一度もない。この動画は「ディープフェイク」である。AIを使用して、人々が実際には話していないことを話しているように見せかける動画を作成する手法のことだ。ディープフェイクは、偽装コンテンツの取り締まりに関して、ソーシャルネットワークが直面する課題を浮き彫りにしている。
Viceが報じているように、再生速度を落とすことで下院議長のNancy Pelosi氏が酔っ払っているように見せかけた改変動画の削除を拒否したことで批判を浴びたFacebookにとって、今回のZuckerberg氏の動画が試金石になる可能性もある。
偽ニュースは削除しないが、Facebook上でのリーチを制限し、ファクトチェッカーによる情報を表示する、というのがFacebookのポリシーだ。Facebookは写真共有サイトのInstagramを所有している。
Instagramの広報担当者は、「われわれはこのコンテンツを、Instagram上のほかのすべての偽情報と全く同じように扱う。第三者のファクトチェッカーに偽物と判定された場合、われわれはフィルタリングによって、そのコンテンツを『発見(explore)』タグやハッシュタグページといったInstagramのおすすめ画面から除外する」と述べた。
今回のビデオはアーティストのBill Posters氏とDaniel Howe氏が広告会社のCanny AIと提携して制作したものだ。Instagramの投稿によると、Canny AIのvideo dialogue replacement(VDR)技術を使ったという。動画の制作者は、Zuckerberg氏が2017年にロシアによる選挙への干渉について述べた発言の映像を使用した。
CannyはPosters氏とともにDonald Trump大統領とKim Kardashianさんの偽ビデオも作っている。ビデオで紹介されているSpectreは英国のSheffield Doc/Festで行われたアートの展示の一環で、Zuckerberg氏の偽ビデオは4日前に投稿された。Posters氏にコメントを求めたが回答は得られていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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