USEN-NEXTホールディングスは6月6日、2020年8月期を初年度とする5カ年の中期経営計画を発表した。音楽配信などキャッシュ・カウ事業をベースに、成長領域への積極投資を図るなどの基本戦略を発表した。
中期経営計画の策定は、2020年8月期を新たなスタートラインとするUSEN-NEXTグループが、持続的な成長と企業価値向上の実現に取り組むもの。2017年12月の経営統合以来、初めての12カ月間の事業年度となる2019年8月期は、概ね計画どおりに推移しているという。
USEN-NEXTホールディングス 代表取締役社長CEO宇野康秀氏は「売上高予想は、目標1700億円に対し、第2四半期時点で835億円と進捗率は、50%やや下回る数字。しかし、ビジネス的に、期末に売上が伸びる形になっており、社内的には上回っている」と、現状を説明した。
USEN-NEXTホールディングスでは、コンテンツ配信、エネルギー、店舗向けIoT事業を高成長事業、業務用システム、SaaS/回線、メディア事業を安定成長事業、音楽配信事業を安定高収益事業の3つに分類。安定高収益事業で創出した利益を源泉にし、高成長事業への投資を図る。
宇野氏は「音楽配信事業は、2018年にライバル企業であったキャンシステムをグループに収め、事実上独占状態にある。この大事な資産をいかし、顧客が今後求めるサービスを提供し、クロスセルしていくのが大きな戦略」とした。
顧客は、飲食店、小売店、理美容店などで、大規模なチェーン店から、地元密着型の小規模店舗までさまざま。「社会的な環境変化を受け、変わらないといけない。労働人材の確保で苦労しているのであれば、ICTやIoT技術を使って、省人化対策を進めたり、キャッシュレス化のシステムも提供したりしていく。またもう一つの大きな課題はインバウンド。集客やサービスの対応が迫られている。こうした、お客様の課題にいくつかのサービスで応えていく」とした。
事業規模の拡大にあわせ、社内の体制も変化。コアタイムなしのスーパーフレックスタイムやテレワークの導入など、働き方改革を進める。宇野氏は「旧来のトップダウン型の組織から、経営体制そのものを変えた。フリーアドレス制も導入し、半年程度経過したが、社員のエンゲージメントが高まってきている。一人ひとりの生産性もよくなり、商品商材の増加に対応している」と、働き方改革、オフィス改革の成果を話した。
コンテンツ配信事業では「VOD市場は非常に注目され、ユーザー数を伸ばしている。特に5月はGW効果もあり、月間の顧客獲得数は過去最高値を超えた。ただ、プレーヤーが多いジャンルでもあるのため差別化は必要。U-NEXTは、オリジナルコンテンツではなく、ライブラリとしての価値を追求し、主要6ジャンルでコンテンツラインアップNo.1になっている」と順調に推移していることをアピール。エネルギー事業に関しては、顧客基盤を拡大し、2020年度には単月黒字、2021年度には通期黒字により利益に貢献していくとした。
2024年の売上、営業利益については、売上高2700億円、営業利益130億円、経常利益120億円、当期純利益65億円とし、2019年度比で、売上高・営業利益が150%、当期純利益が200%になる計画を掲げる。宇野氏は「事業のほとんどがストック型で、顧客数が増えれば売上が伸びる構造。事業会社のマネジメントに足元の獲得数とトレンドを見ながら、無理のない範囲で予想した」とした。
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