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XaaSの成長に欠かせないのは「行政のオンライン化」--freee佐々木氏が若手議員に説明

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 2016年11月、衆議院議員山際大志郎氏をはじめとする若手議員は「AI・ビッグデータ・IoTの利活用若手議員連盟」を設立し、DX(デジタルトランスフォーメーション)の促進を注視すると同時に政府への呼び掛けを重ねている。

 同連盟は5月31日、実装段階に至ったとの判断から「AI・ビッグデータ・IoTの利活用及びXaaS型ビジネス促進若手議員連盟」への名称変更と、衆議院第1議員会館にfreee代表取締役CEOの佐々木大輔氏を招請して、XaaS型ビジネスの展望を披露した。なお、XaaSはX as a Serviceの略称であり、MaaS(Mobility as a Service)やSaaS(Software as a Service)といった必要な機能を必要な分だけ提供するサービスモデルを指す。

freee CEO 佐々木大輔氏
freee CEO 佐々木大輔氏

 日本生産性本部が2017年12月に発表した「労働生産性の国際比較 2017年版」によれば、日本の労働生産性は先進7カ国中最下位に位置し、時間あたりに換算して46ドルと、トップの米国の69.6ドルを大きく下回る。freeeの調査によると、中堅中小企業のバックオフィスにおける生産性に大きな課題を抱えている点を指摘している。

 大企業と中堅企業におけるバックオフィスの人数を比較すると、従業員数1200名を超える某製造業は経理人数は4名、平均的中堅企業は3〜5名とさほど変わらない。大企業のケースを1.0と指数化した場合、平均的中堅企業のそれは0.1〜0.2ポイント。従業員あたりの経理人数は5倍以上の差が生じることになる。佐々木氏は「ここが大きなボトルネックとなる」と指摘しつつ、「経理業務のうち7割以上は自動化が可能」と述べる。

 中堅中小企業のDX推進を支援するfreeeだが、事例の1つとして興味深いのが「すべての作業がスマホで完結し、簡単で使いやすい」というユーザーの声だ。コメントを寄せたユーザーはシニア層に含まれる年代だが、「スマホならインターネットに始めからつながり、アプリも直感的」という。「デジタルデバイドの問題が叫ばれてきたが、スマホの台頭で解決した実感がある」と佐々木氏が述べると、参加した議員からも同意する声が聞こえてきた。

XaaSがもたらす企業サービスの概念転換

 本誌読者ならXaaSは周知された情報に類するため本稿でも割愛するが、佐々木氏は参加議員らに対して、1999年のSalesforce.comから始まったSaaS時代をひもときつつ、近年の社会動向を説明。たとえば2018年にはソフトバンクとトヨタ自動車のMaaS事業における子会社「MONET」の設立など紹介。「どのような資源でも所有するのではなく共有し、インターネット経由で呼び寄せて利便性を向上させるもの」(佐々木氏)と説明した。

 SaaSやMaaSなどを包括するXaaSの特徴として佐々木氏が強調したのはビジネスモデルである。一般的なXaaSは月額利用料や特定機能で従量課金制を用いており、ビジネスチャットサービスを展開するSlackを例に「継続課金モデルで将来の見通しが立てやすい」と議員らに説明。「先行投資で顧客を獲得し、後から資金を回収すればよい。米国上場企業も初期は赤字が多いものの、もうかることが明確なので先行投資している。だからこそ、日々の機能改善や価値の高いサービスを提供してユーザー体験へ投資するのがビジネスの肝」だと、XaaSビジネスモデルが普及している背景を語った。

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 最後にXaaSエコノミーを発展させるための条件として、データ法制の整備、中堅中小企業のオンラインバンキング利用率向上を求めた。freeeが2016年に990社を対象にした調査によれば、利用率は40.8%という結果だったものの、とある地方銀行担当者は「肌感覚だが法人顧客の利用率は10〜15%程度」だという。これらの状況を踏まえて、佐々木氏は「紙や窓口による行政手続きをなくし、シームレスな決済を可能にすることがXaaSに成長に欠かせない。行政のオンライン化は重要なアジェンダだ」と議員らに法整備の対応を求め、司会進行を務めた議員も、2019年内実施予定の参議院議員選挙後に対応することを表明した。

行政が優先すべき対応は“認証”関連

 参加した議員から、「音楽のコンテンツ化が文化の醸成を阻害している」という質問が挙がったが、これに対して佐々木氏は、「オペラや歌舞伎も同じ。ミュージシャンのビジネスモデルは興業=ライブになっている。(音楽も)歴史に残るアートに近づいているのでは」と回答。別の議員からの「Uberがユーザーが儲からない」という指摘に対しては、「たとえば朝から雨が降った場合、スマホでタクシーを捕まえることが難しくなった。UXの向上に供給が追いついていない」と現状を分析した。

 さらに別の議員から行政のデジタル化の文脈で、「行政が優先すべき対応は」と尋ねられると、「認証だと考えている。法人が行政サイトへログインする手段がほぼ使われていない。なぜなら法務省の電子証明書は有料で、半年ごとに期限が切れてしまい、中小企業の負担は大きい」(佐々木氏)と指し示した。この問題が解消されれば、電子提出可能な手段は多数用意されているため、利用率は向上するとの私見を述べた。

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