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インスタのアンケートで16歳少女が自殺か--SNSの悪意に怯える子どもたち - (page 2)

SNSの悪意に怯える子どもたち

 2019年1月から放送された菅田将暉さん主演の日テレドラマ「3年A組 -今日から皆さんは、人質です-」は若者の間で大ヒットした。職員室で教員が踊る「朝礼ダンス」がうけて、TikTokなどで踊ってみた動画が多数投稿されたことでも記憶に新しい。

 ドラマを見ていない方にはネタバレになってしまうのだが、ドラマの最終回に、ある登場人物が自殺した理由はSNSにおける悪意のせいだということがわかる。SNSで誹謗中傷され続けたある人物は、その場にいた別の人物のスマホの着信音で恐怖感が刺激され、発作的に飛び降りてしまうのだ。

 これを見た中学生たちは、「すごいリアル」「私だったら耐えられない」と言っていた。「LINEは使ってるけど、さらされたり悪口を送られたら怖いから顔を出していない」と先程の女子中学生は言っていた。「友だちに送った言葉とか、送られた言葉とかにも『失敗したかも』といつもすごく悩んでいるのに、知らない人だったら怖すぎる」。

 その女子中学生は、LINEグループで一斉に友だちに悪口を送られたこともあるという。いじめではなく行き違いだったのに、通知がある度に自分への悪口が表示されて、「世界中が自分を嫌っているような気持ちになった」と言っていた。「LINEをずっと使っていると、世界がそこにしかないように感じる。それ以外が見えなくなる。だから、そこで否定されて味方がいないと、追い詰められる気持ちはよく分かる」。

 若者たちは悪意がある投稿をしてしまいがちな一方、そのような投稿をひどく恐れてもいる。悪意は返ってくるものだ。たとえイライラしても、そのような行動が相手をどれくらい傷つけるかを自覚し、自分を抑えられるようになるべきだろう。

 冒頭でご紹介したInstagramの事例のように、自分の行動が相手を深く傷つけ、取り返しのつかないことにつながることもある。自分の心や行動をコントロールし、ネット上に安易に吐き出すことがないよう、見守ってあげてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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