調査会社eMarketerによると、米国ではモバイル広告費が2019年に870億ドル(約9兆6000億円)になり、同国の全デジタル広告費の3分の2以上を占める見込みだという。
またニューヨークを拠点とする調査分析会社のDoubleVerifyによると、同国では2018年、モバイル広告費が初めてテレビ広告費を上回った。また、この大幅な成長は主にモバイルアプリ広告への多額の投資によるもので、2021年までの今後3年間で世界的なモバイル広告費は実に2010億ドル(約22兆円)に到達するとみられるという。
だがこのモバイルアプリ広告費の増加は、詐欺師がこの動向に便乗し続け、とどまる兆候が見られないことを意味する。
そして、企業も損失を被っている。DoubleVerifyは最近、デジタル広告業界におけるモバイル広告詐欺の状況を精査した。
モバイルアプリのSophisticated InValid Traffic(悪意のある無効トラフィック:SIVT)に該当するインプレッションが、2017年以降、対前年比で倍増していることがDoubleVerifyの調査により明らかになった。不正アプリの総数は、2017年から2018年のわずか1年で159%増加したという。
不正モバイルアプリの半分以上(57%)が「ゲーム」もしくは「ツールとユーティリティ」に分類される。
さらに、2018年に特定された新たな不正アプリの数は、2017年に特定された数の1.6倍に上る。
アプリにはびこる不正の検出は至難の業だ。各アプリのバックグラウンドの広告アクティビティ、隠し広告、アプリの虚偽表示(なりすまし)、著作権侵害サイトを偽装できるURLマスキング、広告露出回数(インプレッション)の改ざんなどを調べる必要がある。
隠し広告は企業にとって犠牲が大きい。広告が閲覧可能になっていれば、ブランドにとって明らかに大きな価値となる。だが、広告は適切な環境と、ブランドのターゲットとして適切な地域で人にしっかり閲覧される必要がある。
意図した広告が、その商品が販売されない地域の人々に閲覧されても、企業はキャンペーンの販促費を無駄にすることになる。
DoubleVerifyのFraud Labの主任であるRoy Rosenfeld氏は以下のように述べた。
モバイル、特にモバイルアプリに広告費がいっそう集中する中、詐欺師らはその状況を利用すべくこれまで以上に躍起になっている。ブランド側は自分たちのリスクを理解し、リスクに応じて広告費を割り当て、デジタル投資のための適切な安全対策を導入することが重要だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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