TSUTAYAが月額定額制の雑誌読み放題サービス「Tマガジン」をスタートする。対象雑誌は約400冊。週刊誌、ファッション誌、ビジネス誌はもちろん、鉄道、将棋、釣り、健康など、趣味性の高い雑誌までを取りそろえる。
月額利用料は400円。店舗レンタルと動画配信サービスを融合させたサービス「TSUTAYAプレミアム」会員は、50誌限定になるが、月額料金1000円のまま利用できる。
大阪府枚方市にオープンした「蔦屋書店 枚方店」から事業をスタートしたTSUTAYAは、長く書籍、雑誌の販売を中心事業の1つに据えてきた。現在、書籍関連の店舗数は835、書籍・雑誌販売のフランチャイズとして展開する「TSUTAYA BOOK NETWORK(TBN)」の売上は1330億円に達する。
しかし、全国的に見ると書店は減少傾向にあり、「書店のない街」が出てきていることも事実。一方で、配送業の人手不足から、中国、九州地方で、本の発売日が1日遅れになるなど、本を取り巻く環境は大きく変化している。
「リアルな書店を運営しながらも、お客様が欲しいと思っている雑誌を届けられていないのでは、という思いがあった。この課題を解決するためにTマガジンの開始に踏み切った」とTSUTAYA 広報ユニットの東佑香氏はサービス開始のきっかけを話す。
CCCグループでは、代官山を始めとする蔦屋書店のほか、TSUTAYA BOOKSTORE、中古と新刊の両方を扱うTSUTAYA BOOK GARAGE、カフェやDVDレンタルなどを組み合わせた草叢BOOKSなど、形態の異なる書店を運営。図書館事業も現在6拠点を数える。リアルな本とユーザーの接点を提供する一方で、TSUTAYA DISCASなどの宅配レンタル、電子書籍サービス「Airbook」も実施。今回サブスクリプション型の雑誌読み放題サービスTマガジンを開始することで、包括的なサービス形態を整える。
現在、雑誌読み放題は複数のサービスが先行しているが、Tマガジンは、約400冊という、対象雑誌の多さで差別化を図る。車やスポーツ、鉄道など趣味性の高い雑誌を数多くラインアップ。TSUTAYAグループ内に複数ある出版社の発行雑誌を用意するほか、月額定額制読み放題サービスには初出となる雑誌「Rolling Stone」「NHK将棋講座」等もそろえ、さらに、漫画や成人向けの雑誌カテゴリもカバーする。
PC、スマートフォン、タブレットなどのデバイスから専用アプリを通じて閲覧ができ、最大6デバイスで情報を共有。タテヨコ自在読み機能「ユニバーサルフリック」を採用し、ストレスの少ない使い勝手を提供する。閲覧履歴を学習し、よく読む雑誌やジャンルは上部に表示するなど、使うほどに好みの仕様に変化する仕組み。各雑誌ページからは、バックナンバー(閲覧期間は雑誌ごとに異なる)も見られるほか、リアルな雑誌を購入できる導線も用意した。
「電子書籍の状態で読んでみて、手元に残しておきたい場合もある。そうした際にすぐに購入できる仕組みを提供することで、雑誌本体の売上にも結びつけたい。漫画雑誌では、雑誌ページに連載漫画の単行本購入への誘導を設けている」(Tマガジン 編成・マーケティング部の古謝雄基氏)と、リアルへの接点も組み込む。
「TSUTAYAでしかできないことで、先行するサービスと差別化していきたい。 そのため、Tカードと連携するほか、データベースの利活用も視野にいれている。特にこだわったのは、数多くある雑誌とお客様の接点を増やすこと。通常のジャンル検索のほか、蔦屋書店などで採用する、「料理」「旅行」といったキーワードから、関連雑誌を集めて紹介するレコメンドをTマガジン上でも使っている。お客様にいかに雑誌を知ってもらうか、アプリという限られた画面の中でも、他に埋もれることなく、みつけてもらいやすい設計を心がけた」と古謝氏はアピールする。
長く書店経営を手がけてきたTSUTAYAがTマガジンで目指すのは、書店がなくなり、本が買えなくて困っている人たちの救済だ。
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