シンガポールの議会が、偽ニュースの拡散を抑制するための法案を可決した。
The Straits Timesによると、現地時間5月8日に可決されたオンラインの虚偽情報および情報操作防止法の下で、シンガポールの閣僚は、FacebookやTwitterのような企業に対して投稿の横に偽ニュースの警告を表示したり、投稿を完全に削除したりすることを要求する権限を付与されるという。
シンガポールの利益に反して悪意を持って行動したと認定された個人またはグループに対する最大の刑罰は、10年の懲役と100万シンガポールドル(約810万円)の罰金だ。シンガポールはマレーシアやロシア、ベトナムなどに続いて、偽ニュース防止法を施行する国家となった。
アムネスティ・インターナショナルの東アジアおよび東南アジア地域責任者であるNicholas Bequelin氏は法案の成立前に、「この法案が可決されれば、シンガポール当局は自らにとって好ましくないオンラインの意見を弾圧する絶対的権限を得ることになる」と述べた。
「この法律の狙いはオンラインの表現の完全な抑圧にあるのではないかと、シンガポールの国民が懸念するのは当然だ。この法律は言論の自由を犯罪とみなし、反対意見を検閲するほぼ絶対的な権限を政府に与える。何が真実で何がうそなのか、そして、さらに心配なことに、何が“誤解を招く”のかについての真の定義さえ提示されていない」(同氏)
非営利組織「国境なき記者団」は報道の自由に関して、シンガポールを180カ国中151位と評価している。
Googleは、誤った情報を特定して処理することの難しさ、そして、それらの問題に関する議論によって、「完全で透明性の高い公の協議が必要であることが浮き彫りになった」ことを指摘した。
「われわれはこの法律がイノベーションとデジタル情報エコシステムの成長を阻害することを今も懸念している」と広報担当者は電子メールの声明で述べ、さらに「法律がどのように施行されるかが重要だ。われわれはこのプロセスに関して、政策決定者と協力することを約束する」とした。
シンガポールのLee Hsien Loong首相は4月の議会で、投稿が削除されるのは「極端で緊急のケース」だけだと述べていた。
シンガポールの法務省は4月の声明で、この法案が「標的としているのは言論の自由ではなく、偽の情報である」と述べた。
「この法案は、オンラインの偽情報が真実の発言や考えを埋もれさせ、民主的なプロセスと社会を弱体化させることのないようにするものだ」と同省は述べ、偽情報を正すことがこの法案の最大の目的であり、刑事責任を問われるのは「偽の情報を使って、故意に社会を弱体化させようと行動する者」だけだとした。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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