ジェネシスヘルスケアは4月25日、個人遺伝情報を共有するための新サービス「GenesisGaia(ジェネシスガイア)」を開始すると発表した。ジェネシスヘルスケアは、2004年に設立。医療機関や学術機関向けの受託遺伝子解析や一般向けの遺伝子検査キット「GeneLife(ジーンライフ)」を通じて、累計約71万人分の遺伝子解析情報を持つ。
ジェネシスガイアは、遺伝子情報のマーケットプレイスだ。遺伝情報を研究に活用したい医療・学術研究機関や製薬会社、食品関連などの企業に対し、遺伝子情報を提供する個人の利害が一致した場合、アプリを介して遺伝情報を共有することで個人がポイントを受け取れる「GeneLife Reward Program(ジーンライフ リワード プログラム)を提供する。ジェネシスヘルスケア 執行役員 COOの中西佑介氏は「ジェネシスガイアは、日本で遺伝情報にシェアリングエコノミーの概念を導入する先駆的な事例」と意気込む。
まずはジーンライフの検査キットの購入者をサービスの対象とする。同日よりジーンライフの利用者5000人に先行配布版アプリを配信し、6月中に一般向けに完成版アプリを配信予定だ。遺伝情報の提供にあたっては、どのような研究や開発に利用されるのかを開示し、個人は研究・開発ごとに同意するか否かを判断できるという。なお、得られたポイントは、当面はジェネシスヘルスケア/ジーンライフの公式ウェブサイトにおける商品交換に限定するが、年内にはほかのポイントプログラムへのポイント変換もできるようにする方針だ。
ジェネシスガイアを利用する学術・研究機関のメリットは、必要な遺伝情報の絞り込みが効率的にできることだ。アンケート調査などで得た個人の性別、年齢、喫煙や飲酒などの生活習慣、過去に患った病気などの条件から該当者を匿名で検索できる。さらに個人の同意があれば、該当する個人に連絡ができるため、たとえば特定の遺伝的特徴を持つ人だけ治験の対象にする絞り込みが簡単にでき、治験薬の研究期間短縮を期待できるとしている。
同社のアンケート調査によれば、7割以上が自分の遺伝子情報を活用してほしい意向があるという。「企業と個人をつなぐプラットフォームをつくれば、新しい薬や治療法の確立に役立ち、その個人や社会に還元できるのではないかというのがサービスの着想」と説明した。現在はオムロン ヘルスケアと協議を進めているほか、製薬会社や治験の会社、化粧品・食品会社から引き合いがあるという。
また同日、日本抗加齢医学会とジェネシスヘルスケアは、学会に所属する医師や歯科医など、国家資格を有する医療従事者らが全ゲノム解析を受け、解析結果をアンチエイジング研究に役立てる「アンチエイジング全ゲノム解析」臨床研究プロジェクトで提携したと発表した。
加齢の病的プロセスを予防する抗加齢医学を基礎医学と臨床医学の両面から追求。抗加齢医療により、健康長寿を国民が享受し、社会貢献できる人口の増加と医療費の抑制に寄与することを目指す。
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