シャープ戴会長兼社長が平成最後のメッセージ--「社員全員が力を合わせ、次の100年を創る」 - (page 2)

「“創意”と“執行力”の提案大会」を社内で開催

 4月6日から6日間にわたり、米ラスベガスで開催された世界最大級の放送機器展「NAB SHOW 2019」において、「8K world is coming here」をテーマに出展したことにも触れた。

 スタジアムや公共施設内での8K Local Broadcasting(館内放送)や、小型8Kビデオカメラを利用した8K映像の撮影、編集、配信デモ、8Kライブ映像のIP配信などの展示を行い、8K放送が実施されていないエリアに対しても、8Kの世界がすぐそこまで来ていることを積極的にアピールしたという。

 「シャープブースへの来場者からは、『8KのIP配信サービスを早急に開始してほしい』、『小型8Kビデオカメラの仕上がりに驚いた。具体的な発売時期や価格を教えてほしい』など、強い関心を示すコメントをもらった。また、小型8Kビデオカメラが、NAB Show Product of the Year Awardsを受賞し、大きな注目を浴びた。私自身も、現地を視察した。複数の会社が8K放送用カメラを展示しており、また8K放送に関するさまざまな周辺機器が低価格で提案されるなど、放送分野においても、確実に8K化の波が押し寄せていることを感じた。8Kのリーディングカンパニーである当社にとって大きなビジネスチャンスになる。米国においても、これまで以上に積極的な姿勢で8Kの拡大に取り組む」とした。

 4月20日には、「NAB SHOW 2019」に関する勉強会を開催し、シャープのブースの反響や、展示会全体のトレンドなどに関する情報を、社員の間で共有するという。

 シャープが、3月30日に、同社社員を対象に開催した「“創意”と“執行力”の提案大会」についても触れた。

 同大会は、堺本社と各拠点をテレビ会議でつなぎ、約500人が参加。AIoTや8Kのほか、グローバル事業拡大、新規事業、新規デバイスなどについて、19チームが発表を行ったという。「土曜日の開催にもかかわらず、社員が自主的に出席してくれた」とした。

 「今回の提案大会には、(1) “創意”溢れる戦略立案と、強力な“執行力”により次々とイノベーションを生み出す企業文化を社内に定着させること、(2)各事業本部の取り組みを共有することにより新たな視点や気づきを生み、新たな事業拡大戦略の立案につなげること、(3) 中期経営計画の最終年度である2019年度に、具体的成果を上げ、業績に貢献すること、という3つの狙いがあった。こうした観点で大会を振り返ると、介護事業やペット事業に関する提案、One SHARPでの8K PC事業の立ち上げ、借力使力によるBtoB事業の拡大、特長ディスプレイの新たな用途展開など、私が日頃、繰り返して徹底をしている『家電メーカーの枠を超えた新たな事業展開』や『One SHARPや、他社との協業による事業拡大』などに関する提案が数多くあった」とした。

 だが、厳しい見方もする。「それぞれの提案の中身については、より一層の創意が必要である。他の事業本部の発表内容なども参考に、いま一度、それぞれの提案内容を見直し、真に創意溢れる提案へとブラッシュアップしてほしい」とした。

 なお、今回の提案大会の優秀なチームに対しては、提案の内容に加えて、4~6月度の成果や、2019年度業績への貢献度を踏まえて評価し、6月の賞与支給時に社長特別賞を授与するという。「各事業本部が強力な執行力を発揮し、より大きな成果を実現してくれることを期待する」と締めくくった。

“創意”と“執行力”の提案大会の様子
“創意”と“執行力”の提案大会の様子

平成は激動の時代「液晶のシャープ」確立から未曾有の経営危機まで

 シャープには、4月1日付けで、361人の新入社員が入社。堺本社で2019年度入社式を開催した。大卒新入社員では、技術系が248人、ビジネス系が46人。高卒新入社員が18人。さらに、関連会社の新入社員が49人となった。

 メッセージのなかで「新入社員の皆さんへ」と題して、戴会長兼社長は、「シャープには、『年齢・性別・国籍に関係なく、成果をあげた人にしっかりと報いる人事制度』というポリシーがあり、たとえ新入社員であっても、その専門性を活かし、やりがいのある仕事に挑戦することができる。皆さんが、高い当事者意識を持って、積極的な姿勢で業務に励み、次々と新しい仕事にチャレンジしてくれることを期待している。また、『One SHARP』も大切なキーワードのひとつである。そのため、2019年は、シャープマーケティングジャパン(SMJ)や、ダイナブック(DBI)などの新入社員も合同で、入社式や集合研修を実施している。各職場に配属後も、常に、One SHARPを心掛けてほしい」とした。

 さらに「各職場の先輩社員は、新たな仲間を温かく迎えるとともに、1日も早く戦力となるよう、育成に努めてほしい」と要望した。

 5月1日からスタートする新たな元号である「令和」についても触れた。「日本では、4月で『平成』が終わり、5月1日から新たな時代である『令和』が始まる。平成は、シャープにとって、まさに激動の時代であった」と前置きし、「世界一の液晶ディスプレイをはじめとした特長デバイスを武器に『液晶ビューカム』や『ザウルス』、業界初のモバイルカメラ付き携帯電話など、次々と時代の最先端を行く画期的な商品を創出し、2001年の液晶テレビAQUOSの発売以降、『液晶のシャープ』として、一気にブランド価値を上げ、一流メーカーと呼んでもらえるようになるなど、輝かしい栄光の時代があった。だが、その一方で、液晶事業への過剰投資などを背景に、未曾有の経営危機に陥り、苦境に立たされた時代でもあった」と振り返った。

 そして、「令和では、シャープが持つ本来の強みである『創意溢れる発想で次々と新たな価値を生み出していく力』をより一層高め、『家電メーカー』から、『強いハードとサービスが一体となった新たなソリューションをお客様に提供する企業体』へと変革していきたい。そして、世界中のさまざまな分野で、エコシステムの担い手となり得るグローバルブランド企業『SHARP』の確立を目指す」と宣言した。

 そして最後の締めくくりに「2019年度は、その礎を築き上げる重要な1年である。引き続き事業環境は厳しいことが予想されるが、社員全員が力を合わせ、次の100年を創っていこう」と呼びかけた。

 平成最後の社長メッセージは、戴会長兼社長が、節目と位置づける中期経営計画の最終年度に、強い意思を持って、事業成長に取り組む姿勢を見せすものになった。

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