4月15日、大手企業などが参画する「InnovationTechコンソーシアム」が始動した。
InnovationTechコンソーシアムは、トヨタ自動車や伊藤忠商事、みずほ銀行など、40以上の大手企業などが関わるコンソーシアム。「イノベーションテック」の研究および開発、およびこれらを活用したイノベーションの創出を目指す、オープンイノベーションの場だ。VISITS Technologiesが持つCI技術(Consensus Intelligence/特許技術)など用い、アイデア創造の場を定期的に開催。各企業のイノベーション力の強化や、新規事業創出の加速を目標とする。
「誰でもイノベーションを起こすには、偶然やひらめきではなく、科学的アプローチを確立させることが必要」であると語った、VISITS Technologies 代表取締役の松本勝氏。今回の旗振り役である松本氏はコンソーシアムにおいて、「イノベーションを誰でも起こせるように、イノベーションテックという技術でサポートしていく。また、イノベーションテックという技術分野を世界に広げていく」とした。
今回のコンソーシアムで核となるのは、VISITS TechnologiesのCI技術だ。イノベーションに繋がるアイデアが生まれる際には、課題を認識してニーズの仮説を立て、それに対するソリューションを検討するというプロセスがある。松本氏によると、「このニーズとソリューションの質をスコアリングし、それを掛け合わせることで、アイデアの価値をスコアリングできる」という。
また、検討するソリューションが実現可能かどうか判断できるのは人間だけだ。ある人物がスコアの高いアイデアを次々と生み出した場合、その人物はクリエイティブな人材だとスコアリングできる。また、クリエイティブな思考を持つ人物がアイデアを評価する役となった際には、その目利き力を持つ人の評価を他の一票よりも重く設定。これにより、未来の可能性があるアイデアの発掘に繋げることができるという。
松本氏は、「どのようなシーンでどのようなニーズが発生する確率が高いか、それに対してどのようなソリューションが出るか。そしてソリューションに対する評価や評価者の能力、これらを同時に解く、人の合意形成を科学的に進める技術」だと説明した。
そして、CI技術を活用して実現するものが、VISITS Technologiesが取り組むイノベーションテックだ。コンソーシアムでは、各社のシーズ(技術やノウハウ)をリスト化し、CI技術を用いて組み合わせを分析。協業アイデアリストを生成する。実行フェーズに移った際には、進行時の知見を共有し、イノベーションの成功確率を高める。公開されている情報の範囲のみならず、参画団体が保有する特許などの部分についても、それぞれNDAを締結してイノベーションに繋げることも視野に入れているという。松本氏は、「Steve Jobsのような生まれつきの天才だけでなく、誰でもイノベーションを起こせる世の中を目指したい。そのためには、イノベーションのプロセスを解明し、誰でも使えるようにしなければならない」とし、そのベースがイノベーションテックだと語った。
松本氏は各企業が進めるイノベーションの取り組みについて、「フレームワークが確立されておらず属人的になっている。目利きする人材の能力を計算しなければ、イノベーションが加速しない」と指摘した。この課題に賛同した企業が集まり、コンソーシアムが発足したという。また参画企業については、「イノベーションテックを日本に定着させることを目指す上で、社会の手本となる大企業が動いていることをアピールする必要がある。そのため、企業規模や社会へのインパクト、イノベーションに対する取組体制などの観点で入会基準を設定した」(松本氏)という。
コンソーシアムでは今後、イノベーションテックを活用したワークショップの実施や、新たなイノベーションテックツールの研究開発、研究・政策提言などに関する議論などを進める。松本氏は今回のコンソーシアムについて、「イノベーションを共同研究することにより、日本のイノベーションを加速させるとともに、会員間のオープンイノベーションを推進していきたい」と語った。
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