アップル15の大失態を振り返る--「AirPower」、折れ曲がり疑惑から「Newton」まで - (page 2)

Clifford Colby (CNET News) 翻訳校正: 編集部2019年04月30日 07時30分

iTunesがU2でスパマーに(2014)

 U2のニューアルバム「Songs of Innocence」のプロモーションのため、Appleはこのアルバムの全曲を、5億人のユーザーのiTunesライブラリに無償で配信した。多くのユーザーは、AppleとU2のフロントマン、Bonoに感謝するどころか、良くて押しつけがましいと感じ、最悪の場合は侵害されたと感じた。アルバムの売り上げを頼みとするCDショップや、音楽には対価が支払われるべきだと信じるU2以外のミュージシャンたちも憤慨した。そして、Appleの5億人のユーザーの大部分が、聴きたくもないアルバムを送りつけられたと感じた。

「マップ」の産みの苦しみ(2012)

 それまでiPhoneにプリインストールされていた「Googleマップ」に代わり、Appleの「マップ」アプリが2012年、iPhoneおよびiPadのデフォルト地図アプリとして登場した。残念なことにAppleのマップも、ナビゲーションの過ちや奇妙にゆがんだ画像まで、多数の深刻な問題を抱えてのデビューだった。マップは、2011年に亡くなったSteve Jobs氏の後任CEOであるTim Cook氏の最初の大失態だった。あまりのひどさで、Cook氏はこの不安定なアプリについて謝罪した。

アンテナゲート、あるいは「持ち方が悪い」(2010)

iPhone 4のステンレス製フレームとアンテナ用の切れ目
iPhone 4のステンレス製フレームとアンテナ用の切れ目。
提供:Angela Lang/CNET

 2010年6月発売の「iPhone 4」には、デバイスの周囲をくるみ、アンテナを収納するスタイリッシュなステンレス製フレームが採用された。このフレームのため、握り方によっては電波の受信状態が悪くなった。リコールのうわさやソフトウェアアップデートの実施、さらにはAppleがフレームとアンテナ用の切れ目を指でおおわないようにするためのケースを無償で提供する中、同社はこの件について謝罪し、返品に応じると語った。

「iTunes Ping」の孤独(2010)

 「Ping」は、iTunesの大規模アップデートの一環として提供された、ユーザーとその友達、お気に入りのミュージシャンをつなげる目的で構築されたソーシャルネットワークの一種だ。Pingは、発表段階ではFacebookと連携することになっていたが、リリース時には、この機能は付いていなかった。Facebookとの統合がなければ、Ping上で友達を探すのは難しかった。そして、友達が見つかったとしても、その人の音楽の趣味が最低だと分かってしまうこともあった。

揺らぐ「MobileMe」(2008)

 年額99ドルで加入できるAppleのオンラインサービス集である「MobileMe」には、多数のメリットがあった。ユーザーは予定表や連絡先を同期できたし、オンラインストレージ、「iPhoneを探す」、写真ギャラリーに加え、「iWeb」という簡単に使えるウェブデザインツールまでついていた。だが残念ながら、このサービスの立ち上げは最悪だった。加入しようとしてもサインアップできず、サインアップできてもアクセスできなかった。サービスは完全には回復せず、Appleは数年後、このサービスを「iCloud」に置き換えた。

MobileMeには手軽なWebデザインツール「iWeb」も付属していた。
提供:Apple
MobileMeには手軽なWebデザインツール「iWeb」も付属していた。
提供:Apple

超高価格な「iPod Hi-Fi」(2006)

 「iPod Hi-Fi」は、ホームオーディオに取って代わることを目指した高価でかさばるスピーカーだ。AM/FMラジオはなく、付属のリモコンでできることは限られ、上部に不安定な状態でiPodをさすようになっていた。音質は良かったが、潜在顧客はその価格(競合製品より50〜200ドル高い349ドル)、デザイン、そして、Apple純正以外のオーディオプレイヤーと互換性がないことに悩んだ。

「G4 Cube」の亀裂(2000)

美しい「G4 Cube」
美しい「G4 Cube」。
提供:Apple

 「G4 Cube」は、アクリルガラス筐体で、美術館に展示してもいいくらいの、人目を引く製品だった。この箱型のMacも高く、ディスプレイは付属せず、外付けのスピーカーが必要で、しかも表面に外観を損なう「ひび」が生じる可能性があった。Appleは発売からわずか1年後の2001年に、このMacの販売を終了した。

「Twentieth Anniversary Macintosh」(1997)

 創業20周年記念モデル「Twentieth Anniversary Macintosh」は、コンピューターにユーザーが求めるもののすべてが収められたオールインワン製品で、そのデザインはエレガントというより圧迫感があった。液晶ディスプレイ、FMラジオ、テレビチューナー、CD-ROMドライブ、Boseのオーディオシステム、革製のパームレストも付属した。発売段階での価格は7500ドルという高さで、あまり売れなかった。Appleは1年後、在庫処分のために約75%引きの1995ドルに値下げした。

鳴かず飛ばずだったマルチメディアデバイス「Pippin」(1996)

ゲームコンソールのPippin
ゲームコンソールのPippin。
提供:Apple

 「Pippin」は、ゲームコンソール兼インターネット接続端末兼セットトップボックスで、Appleがリビングルームに入り込むための手段になるはずだった。だが、購買者やソフトウェア開発者、この端末のマルチメディア設計をライセンスする可能性のあるハードウェアメーカーに支持されることもなく、1997年に製造中止になった。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]