データスキャンダルに関する訴訟で先頃提出された文書によると、Facebookはコンサルティング企業Cambridge Analyticaによるユーザーデータの不正取得について、メディアで報じられる何カ月も前から認識していたという。
ワシントンDCの司法長官は、同訴訟の文書を非公開扱いにしようとするFacebookの主張に反論する中で、このことを主張した。米国時間3月18日にDCの上級裁判所に提出され、The Guardianによって最初に発見された文書によると、同訴訟の文書には商業上の機密情報が含まれるため公開すべきではないと、Facebookは主張しているという。
司法長官の編集済みの提出文書によると、問題の文書は、「Cambridge Analytica(など)がFacebookの方針にどう違反したのかに関する、Facebook従業員間の電子メールのやりとり」だという。「(この文書は)FacebookがCambridge Analyticaの不適切なデータ収集について、ニュースメディアで報じられる何カ月も前から認識していたことも示している」。
この提出文書が提起するのは、FacebookがCambridge AnalyticaによるFacebookユーザー個人情報への不適切なアクセスを認識したのはいつなのか、という問題だ。
DCの司法長官は2018年12月、Facebookの「甘い監視体制と、誤解を招くプライバシー設定」がCambridge AnalyticaによるFacebookユーザー個人情報への無断アクセスを招いたとして、Facebookを提訴した。Cambridge Analyticaは、ケンブリッジ大学講師のAleksandr Kogan氏が開発した性格診断クイズアプリからデータを入手した。このアプリは、「心理学者が使う研究アプリ」として宣伝されていた。
Zuckerberg氏は4月に米議会のために準備した証言原稿の中で、「われわれは2015年、Kogan氏が自分のアプリのデータをCambridge Analyticaと共有していたことをThe Guardianのジャーナリストから知らされた」と述べた。
だが、裁判所に提出された文書には、「この文書に書かれた事実は、2015年9月という早い時期に、DCに拠点を置くFacebookの1人の従業員が同社に対して、Cambridge Analyticaが(提出文書で、この部分は編集で削除されている)と警告したこと、そして、ほかの従業員に(編集で削除済み)を要請し、Cambridge Analyticaのデータ取得慣行はFacebookのプラットフォームポリシーに(編集で削除済み)との回答を得たことを示している」と書かれている。
この文書が示唆するのは、The Guardianが2015年12月にCambridge Analyticaのデータ収集慣行について報じる何カ月も前に、少なくとも1人のFacebook従業員が同コンサルティング企業による不適切な活動の可能性を認識していた、ということだ。
Facebookは、Cambridge Analyticaによるデータ送信に2015年12月まで気付かなかったとの姿勢を維持している。
「これらは2つの異なる事件だった。2015年9月、Cambridge Analyticaがデータを取得しているのではないかという憶測を複数の従業員が耳にした。残念ながら、これはあらゆるインターネットサービスでよくあることだ」とFacebookの広報担当者は述べ、「われわれはKogan氏がCambridge Analyticaにデータを販売したことを、2015年12月に報道で初めて知り、対処した。これらは2つの異なる案件だった」
2018年11月にはThe New York Timesが、Cambridge AnalyticaによるFacebookユーザーデータの不正利用が発覚したスキャンダルについて、Zuckerberg氏と最高執行責任者(COO)のSheryl Sandberg氏が「危険な前兆を認識しながら無視していた」と報じた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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