英政府通信本部、ナチスの暗号機「エニグマ」のエミュレータを公開

Charlie Osborne (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 矢倉美登里 高橋朋子 (ガリレオ) 編集部2019年03月19日 12時13分

 英国の諜報機関である政府通信本部(GCHQ)が、創設100周年を記念して、第2次世界大戦中に使用された有名な暗号機と暗号解読機のエミュレータを公開した。

 GCHQは先週、「CyberChef」向けに開発された「Enigma」「Typex」「Bombe」のシミュレータを介して、誰もがこれらの機械を試せるとTwitterで発表した。CyberChefは、GCHQのオープンソースの無料ウェブアプリで、データの操作や、Base64方式のエンコード、データの圧縮と解凍、バイナリや16進ダンプの生成といった操作の実行ができる。

 Enigma(エニグマ)暗号機は、第1次世界大戦の終結直後にドイツの技術者Arthur Scherbiusによって考案された。通常のタイプライターのような外観のEnigmaは、メッセージの暗号化や暗号解読に用いられた。

 Enigmaでは、キーを押すたびにローターが回転し、メッセージの暗号化に使用される暗号鍵がたえず変化して、103セクスティリオン(セクスティリオンは10の21乗)通りの組み合わせを提供する。そのため第2次世界大戦中のドイツ軍は、この暗号システムが解読されることはないと信じていた。

 Enigmaは最初にポーランドで解読されたが、戦争が差し迫るなかで、英国でも解読に着手した。映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』で描かれたように、Dilly Knox、Tony Kendrick、Peter Twinn、Gordon Welchman、Alan Turingがブレッチリーパークで暗号解読に取り組み、1940年1月に解読に成功した。

 解読を可能にしたのは、暗号解読機Bombeだ。Bombeは、大戦中にEnigmaを使って暗号化された軍事作戦関連のメッセージを解読するのに用いられた。

 Typexは、英国空軍のために1934年に開発された、英国版のEnigmaだ。BombeでEnigmaを解読できるようになると、Typexの別モデルが、手動によるメッセージの解読に使われるようになった。

 CyberChefは、GitHubで提供されており、同アプリを通じて、Enigma、Bombe、暗号機「Typex」の各シミュレータ、およびそれらの使用説明と練習問題が入手できる。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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