神戸市とドコモ、ITで安心安全なまちづくりを推進--救助者発見や高齢者の見守り

 神戸市はNTTドコモは「ICTを活用した安全安心なまちづくり」に関する事業連携協定を締結した。3月14日に開かれた締結式には、神戸市の久元喜造市長とNTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏が出席し、協定書に署名した。

締結式に出席した神戸市の久元喜造市長と(左)NTTドコモの吉澤和弘代表取締役社長
締結式に出席した神戸市の久元喜造市長と(左)NTTドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏

 両者は2016年4月から3年間「ICT及びデータ活用に関する事業連携協定」を締結しており、そこで具体的な成果が得られたことから新たに安全安心なまちづくりをテーマに協定を継続することが決まった。内容は大きく2つ、ICTを活用した市民サービスの創出と、ICT利活用に向けた人材育成で、それぞれで実施することが久元市長より紹介された。

協定の主な内容
協定の主な内容

 市民サービスは3つあり、1つ目は省電力ワイヤレスカメラと画像解析を活用した見守りの実証事業だ。六甲山は神戸市民にとって身近な山だが、それゆえ遭難事故も起き、年40件ヘリが出動している。そこで登山道にワイヤレスカメラを設置し、収集したデータをAIで解析して要救助者の早期発見につなげる実験を実施する。設置時期は4月以降で台数など詳細はこれから検討する。

実証実験に使用される予定のカメラは単三電池2本で数年間稼働し、ドコモの画像サーバーで解析する
実証実験に使用される予定のカメラは単三電池2本で数年間稼働し、ドコモの画像サーバーで解析する

 2つ目は、一人暮らしの高齢者を遠隔から地域で見守るモデルづくりだ。プライバシーに配慮してカメラを使わないセンシング技術を搭載したデバイスを利用し、異常事態を早急に検知する。室内での行動を検知するほか、呼吸や脈拍も検出可能だ。

 デバイスはドコモの100%子会社であるドコモ・ベンチャーズが出資するシリコンバレーのテラス・ユー・ケアが開発したものを活用することが予定されているが、運用は市が協力事業者を募集する形で行う。アプリケーションはAPIで提供され、事業者は日本語化を含めたカスタマイズが可能だ。

センサーはコンセントに直接挿し込んで使うタイプで、見守りはアプリを使って行う。現在はWi-Fiを使用しているが、来年から本格稼働する5Gにも対応するかもしれないという。
センサーはコンセントに直接挿し込んで使うタイプで、見守りはアプリを使って行う。現在はWi-Fiを使用しているが、来年から本格稼働する5Gにも対応するかもしれないという

 3つ目は、ICTの利活用に向けた人材の育成だ。「スマートスマホ都市KOBE」推進とあわせた依存対策や利活用セミナーの実施。スマートランニングサービスを活用したスポーツデータ分析を神戸市立科学技術高校で実施。そして、地域の若年層に向けては前回に引き続き大学生による小学生のプログラミング教育を開催する。

ICTの利活用に向けた人材育成についてもドコモがサポートする。
ICTの利活用に向けた人材育成についてもドコモがサポートする
プログラム教育ではドコモが開発したロボット教材「embot(エンボット)」を使うことも予定されている。
プログラム教育ではドコモが開発したロボット教材「embot(エンボット)」を使うことも予定されている

 神戸市との協定についてドコモ吉澤社長からは、今回使用するデバイスの説明があり、「ここまでの3年間でも着々と成果が出ており、トップガンと名付けた自社の取り組みとあわせて神戸モデルとして全国展開を目指す」と語る。その1つとして、神戸市北区筑紫が丘で取り組んだ「ラストマイル自動運転移動サービス」の実証実験などを挙げ、神戸市との連携が具体的なビジネスにもつながっていることを強調した。

吉澤社長はワイヤレスカメラやセンサーについて防災や減災にも使えると説明した。
吉澤社長はワイヤレスカメラやセンサーについて防災や減災にも使えると説明した
協定成果から生まれた神戸モデルを実用化し継続するトップガンで全国に展開することを目指す。
協定成果から生まれた神戸モデルを実用化し継続するトップガンで全国に展開することを目指す

 さらにデジタルトランスフォーメーション実現の大きな柱と位置付け、9月にプレサービスが始まる5Gについても、「ワールドカップにあわせて提供できるのではないか」とし、社会課題解決に向けた活用を神戸市と共に行っていくと述べた。それに対し、久元市長も今回の協定には無限の可能性があり、「たとえば位置情報は対象をモノに拡げて状態をリアルタイムに検出し、安全安心の対応につなげるなどの展開を期待している」と展望を語った。

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