自分のお金がブラックホールに消えていくように感じたことがあるなら、英国の物理学者の故Stephen Hawking博士を称える50ペンス(約73円)硬貨を手に入れてみるとしっくりくるかもしれない。
英国王立造幣局は現地時間3月12日朝にこの硬貨を発売した。
王立造幣局が11日に発表したこの硬貨は、表面にはHawking博士の名前とブラックホールの図柄が、裏面にはElizabeth女王の顔が刻印されている。
「Stephen Hawking博士は、難しい科目を理解しやすく、興味をそそる、共感できるものにしてくれたので、それをデザインで表現したかった」とこの硬貨のデザイナーであるEdwina Ellis氏は王立造幣局のサイトで述べた。「小さな硬貨に大きなブラックホールをあしらいたかった。博士がまだ健在であれば、この考えに声を立てて笑ってもらえればと思ってデザインした。きっと博士なら、この硬貨の光沢のある表面を生かす方法もいくつか考え出していただろう」(同氏)
この記念硬貨はオンラインで販売されているが、安価ではない。10ポンド(約1500円)のシンプルなバージョンから795ポンド(約11万6000円)の金貨まで4種類がある(編集部注:本稿公開時点で10ポンドのバージョン以外はすでに売り切れとなっている)。
この硬貨は、Hawking博士の一周忌にあたる3月14日の2日前に発売された。世界的に著名な同博士は2018年、76歳で亡くなった。
Hawking博士の娘Lucy Hawkingさんと息子のTim Hawkingさんは、この硬貨を実際に見るため王立造幣局を訪問した。
「父が硬貨のデザインに採用されたことを非常に光栄に思う。父は、同じように貨幣のデザインに使われた科学者のSir Isaac Newton氏やCharles Darwin氏と肩を並べられたことを喜んだだろう」とLucyさんは声明で述べた。
王立造幣局で撮影された動画で、Lucyさんはデザインについて、「硬貨の表面は2Dだが、3D画像が施されているように見える。まるで本当にブラックホールに落ちてしまうようだ」と語っている。
コイン収集家向けサイトのChange Checkerによると、これまで死後1年以内に英国の記念硬貨に採用されたのは3人しかおらず、Winston Churchill元首相とElizabeth皇太后に続いて、Hawking博士が3人目となる。
Hawking博士は若干21歳のとき、筋肉が徐々にまひしていく難病で、ルー・ゲーリック病とも呼ばれる筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された。博士は車いすに乗り、頬の筋肉の動きで操作するコンピュータシステムを通じて意思疎通をしていた。
Hawking博士はさらに、英国の新しい50ポンド(約7300円)紙幣に描かれる肖像画の候補に挙がっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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