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クルマを持てない20億人を救うモビリティFinTech--「GMS」中島社長の挑戦 - (page 2)

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蓄積したデータを活用して次なる事業展開へ

 続いて中島氏は、同ビジネスにおける今後の価値創造について語った。「GMSのビジネスは、クルマのローンの機会を提供するだけでない。車両の運行状況や勤務時間などのログが取れ、データの蓄積をしている」(中島氏)が、そのデータを何に使うか。

 GMSの事業は、マイクロファイナンスとは異なる。「貧困層が生活をするために資金を提供するのではなく、貧困層が中間層に上がるために、桁の違うファイナンスをつけてあげたり、完済までしっかりとエデュケーション(教育)しながら導くというモデル」(中島氏)だ。そのために、利用者データを利用者のために活用する。取得したデータを自動車メーカーや国に提供することもできるが、GMSではデータを主に利用者価値の創造に使っていくという。

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 個人の支払い情報から車両利用状況を併せたデータはまさに利用者の頑張りを可視化したデータであり、GMSはそれらを利用者価値に変え、金融機関に提供する。利用者は自身の働きぶりを初めて金融機関に評価してもらえるようになり、利用者の生活を豊かにする医療ローンや教育ローン、住宅ローンを活用できるようになる。また、金融機関においては、過去の完済情報やその経緯を把握できることから安心して融資できるという。

 次世代のMaaS(Mobility as a Service)とのシステム連携も視野に入れている。今はMaaSプレーヤーとして準備を進めており、将来的にニーズを汲み上げてMaaSと融合できるようにしていく。その際に中島氏が想定するポジションは、「課題解決を誰よりも真剣に考えて誰よりも解決するキープレーヤー」だという。

持続可能な開発目標を達成するビジネスモデル

 このように、ファイナンス会社が踏み込めなかった領域をGMSがフォローすることによって労働者の所得が向上し、「親が頑張り、子どもたちが頑張り、その国が豊かになっていく」(中島氏)というサイクルを実現できる。このGMSのビジネスモデルを別のものさしで見ると、国連で採択された持続可能な世界を実現するための発展途上国向けの「SDGs(持続可能な開発目標)」における17項目のうち、7項目を達成できるビジネスモデルとなっている。

 特に、最初の項目で掲げられている「貧困をなくそう」という部分は、「根幹ビジネスで、会社の存在意義」(中島氏)だ。社会課題に向き合い、解決する中で経済合理性を創出し、社会に貢献するという形を実現している。

GMSのビジネスサイクルにおける「SDGs」
GMSのビジネスサイクルにおける「SDGs」

これからはエコシステムイノベーションの時代に

 最後に中島氏は、GMSが実現しているイノベーションの形を説明した。同社が体現しているのは、「エコシステムイノベーション」というもの。これは既存のパラダイム自体を変化させるものなので、自社だけでは変えられない。そこで、エコシステムを作り上げながら実現していくというイノベーションの形だ。

 同社がフィリピンで行っている事業では、本来GMSと金融機関と利用者がいれば事業が成立するが、自治体や決済インフラ、大企業など多方面と連携し事業を進めている。エコシステムイノベーションの実現のために「最初から狙いを定め、完全オープンで事業化を行ってきた」(中島氏)とのこと。

 大企業を中心に自前主義の会社では、最終的に事業化されなかったアイデアはそのまま死滅してしまうことが多い。そこで、既存の組織内で新規事業を立ち上げるには、「ベンチャーと連携することによって、エコシステムで補完し合いながらイノベーションを生み出していく方法もある」と中島氏は提案する。

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 さらに、「私たちは社を超えてイノベーターの意識をもって働いている。組織内の人間も、社内の役職ではなく、社会にとって必要とされる“社会のリーダー”を目指し、国や世界、地域から見たらどうなのかということを意識するのがイノベーションを牽引するリーダーへの第一歩だと思う。社会を育てるためにベンチャーを活用したり育てたりする必要があるのではないか」(中島氏)と説いた。

 今後もGMSは、「こういった課題の中で事業を組み立てて、金融機関、車両メーカー・販売店、利用者、社会の“四方良し”の状況を作り上げ、さまざまな国で事業を拡大していく」(中島氏)としている。

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