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「Magic Leap」の作品で見えてきた「想定外」のARの可能性 - (page 2)

Joan E. Solsman (CNET News) 翻訳校正: 石橋啓一郎2019年03月04日 07時30分
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A Jester's Taleのポスター
A Jester's Taleのポスター
提供:1RIC/Ryot

 A Jester's Taleは、外部の人間がMagic Leapの限界に挑んだときに何が起きるかの一端を示している。Malik氏が限界に挑んだことは確かだ。

 A Jester's Taleは、Magic LeapのMR機能を使って、部屋の中に2種類のキャラクターを出現させている。まず、空中に浮かぶドットの雲だ。これは、SF的なCAPTCHAとして、作品を体験している人が「本物の人間であるかをテストする」役割を持つ、言葉を話す人工知能(AI)を表している。それから、「volumetric asset」(3Dの物体を表現するためのデータアセット)が存在する。これは、ホログラムのように立体で表現される実際の人間の3D映像だ。

 作品には、男の子とその母親のホログラムが登場する。また、コンピュータによって生成されたねずみと、毛皮のコートを着た、Poppyさんが演じるねずみの女王のホログラムも出てくる。Malik氏は、緑色のスクリーンで囲われたスタジオを100台以上のカメラで取り囲んで、人間の演者を撮影して生データを作成し、それを繋ぎ合わせて3Dの映像を作り上げた。これらは非常に大きなファイルで、A Jester's Taleでは、Magic Leapの技術を使って、30本もの3D映像クリップが容赦なく次々と再生される。

 その結果、A Jester's Taleのアプリのサイズは30〜40Gバイトに膨れあがり、Magic Leapのヘッドセットの上限をはるかに超えてしまった。このためMagic Leapは、A Jester's Taleのアプリに3D映像アセットをヘッドセットにサイドローディングさせることで再生を可能にした。この仕組みはうまく動かないこともあった。実は、サンダンス映画祭の公式オープン前に、報道陣が「New Frontier」部門の各作品をプレビューできる日が設けられていたのだが、この作品はその日の大半の時間不具合でダウンしていた。

 Malik氏は、「われわれは、Magic Leapの限界の99%まで使い切った」と述べている。

Magic Leapの自社製作品

 Magic Leap自体もサンダンス映画祭で2つの体験(「Mica」と「Seven Ages of Man」)を発表したが、これらの作品はオリンピック選手のような完璧な着地を見せた。

 MicaはMagic Leapが作った人間そっくりに見えるAIだ(これは偶然のことだが、Micaは少し、Poppyさんをピクシーカットにして、振る舞いを明るくした感じにも見える)。筆者がMicaを体験したときには、彼女はテーブルの向こう側に座って、こちらの目を見ていた。鼻や目の周りにしわを作って穏やかに笑いながら、少し前のめりになって筆者を見つめていた彼女は、壁を指して筆者に絵を掛けるように身振りで示したが、それはシュールレアリズム画家ルネ・マグリットの煙草のパイプの絵だった。その後彼女は、その絵からパイプを取り出して手に取り、MRが「何が本物か」についての思い込みをいかに突き崩すかを示してみせた。

Mica Mica
提供:Magic Leap

 Magic Leapでこのプロジェクトを担当したAlice Wroe氏とJohn Manos氏によれば、Micaは人間の命令に従うバーチャルアシスタントではなく、「快適さを均等化する」ことを目指したAIを持つ「デジタル人間」として設計された。両氏によれば、Micaで目指している目標の1つは、実際の生き物と見紛うようなものを作ることであり、これは開発者にとっても、ユーザーにとっても、人間の形をしたAIについて考えさせるものだという。

 一方、「Seven Ages of Man」(人生の七段階)は英国の劇団ロイヤルシェイクスピアカンパニーに所属するシェイクスピア俳優による一人芝居だ。コンピュータによってアニメーションされる1本の木の前に小さな俳優が立ち、「お気に召すまま」に出てくる、有名な「all the world's a stage」(この世はすべて舞台だ)の台詞から始まる場面を演じる。俳優がシェイクスピアの言葉で人生の各段階について語るにつれ、それに合わせて背後の木にも花が咲き、そして枯れていく。

Seven Ages of Man
Seven Ages of Man
提供:Magic Leap

 Seven Ages of Manに対するわたしの印象は、もっとベテランの俳優を使えばシェイクスピアの台詞にももっとパンチが効いただろうということと、ロイヤルシェイクスピアカンパニーの舞台を、世界中の人が普段生活している部屋でホログラムで丸ごと見られたら面白いだろうとというものだった。

 しかし、A Jester's Taleを体験したときには、ARの未来がどうなるかを考えるどころではなかった。あの作品は、ただ筆者を目の前にある偽りの現実に放り込んだ。

 「いつか、部屋の中にいるキャラクターによって物語が語られたり、部屋の中にキャラクターが一緒に住んだりするようになるかもしれない。(中略)今、そんなアイデアに一番近いものを提示しているのがこの作品だ」とMalik氏は言う。「それが、わたしがたどり着きたいと思っているものだ」

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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