1年間にわたる極秘の準備期間を経て、Mozillaは米国時間2月6日、「サイト分離」機能を実装する計画を公式に発表した。この機能は、「Firefox」のコードをドメイン(サイト)ごとに別々のOSプロセスに分割することで実現する。
この機能の元となる概念はすでに「Chrome」に存在しており、目新しいものではない。Googleは2018年5月、この機能をすべての顧客に向けて段階的に提供し始め、同年の7月までにChrome 67ユーザーの99%に提供した。
Chromeの「サイト分離」機能は、リリースの数年前にChromeブラウザのセキュリティ機能として開発されていたが、リリース時期がCPUの脆弱性「Meltdown」と「Spectre」に関する情報の公開と重なった。サイト分離は、それが主目的というわけではなかったが、これらの脆弱性の影響を阻止することになった。
Mozillaも、Firefox内のさまざまなJavaScript機能の精度を下げる形で、MeltdownとSpectre用のパッチを配信した。Mozillaは、CPU脆弱性に対するGoogleの取り組みについて、以後の同様の攻撃や他の多くのセキュリティ問題の防止にも役立ったため、より優れたものだと考えた。
Mozillaの開発者であるNika Layzell氏は、6日のニュースレターで、2018年にChromeと同様のサイト分離構造に取り組み始めたと述べている。このプロジェクトは社内で「Project Fission」というコードネームで呼ばれていたという。
「この1年間、Fissionの土台作りに取り組み、新しい内部構造を設計してきた。この先の数週間から数カ月間、われわれが開発したコードを『post-Fissionブラウザアーキテクチャ』に組み込むため、全Firefoxチームの支援が必要だ」とLayzell氏は述べている。
Layzell氏が言及している「post-Fissionブラウザアーキテクチャ」は、Chromeの現在の仕組みと似ている。Mozillaの開発者も、ユーザーがアクセスしているウェブサイトごとに、別々のプロセスに分離する計画だ。
Firefoxは現在、ブラウザのユーザーインターフェースを1つのプロセスでまかない、ウェブサイトをレンダリングするFirefoxのコードを少数のプロセスに分割している。
Project Fissionでは、後者のプロセスが変わり、ユーザーがアクセスしているウェブサイトごとに、分離したプロセスが作成される。
この分離はChromeと同じく非常にきめ細かいので、ページ内にiframe(閲覧中のウェブサイト内に他のウェブサイトを読み込むHTML要素)があれば、そのiframeにも独自のプロセスを割り当て、不正なコードをiframe内に隠す攻撃者からユーザーを保護するのに役立つ。
Layzell氏は今後も、自身のGitHubサイトで公開するニュースレターで、Project Fissionへの取り組みに関する最新情報をFirefoxユーザーに提供していくという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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