パナソニックは、2019年3月期第3四半期(2018年4~12月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比2.9%増の6兆0829億円、営業利益は7.5%減の2927億円、税引前利益は6.1%減の1943億円、当期純利益は13.2%減の1737億円となった。
また、第3四半期(2018年10~11月)の連結業績は、売上高は前年同期比1%増の2兆0748億円、営業利益は19%減の976億円、税引前利益は18%減の970億円、当期純利益は26%減の601億円となった。
パナソニック 取締役常務執行役員兼CFOの梅田博和氏は、「第3四半期(2018年10~12月)の売上高は、オートモーティブ&インダスリトアルシステムズは車載電池事業が伸長。エコソリューションズの住宅事業も堅調に推移し、全体では増収。営業利益は、コネクティッドソリューションズのアビオニクス事業の減販損などが影響。アプライアンスはAVCやデバイスが苦戦して全体で減益になった」とした。
第3四半期累計でのセグメント別業績では、アプライアンスの売上高が前年同期比1%減の2兆1390億円、営業利益は17%減の887億円となった。
第3四半期におけるエアコン事業の売上高は前年同期比3%増の1025億円。調理家電や理美容製品などのスモール・ビルトイン事業は4%減の1138億円、冷蔵庫や洗濯機などのメジャー事業は2%減の1326億円、AVC事業は4%減の2024億円となった。
「第3四半期は、エアコンが大型空調を中心に国内で堅調に推移。食品流通は北米での受注が堅調に推移したものの、スモール・ビルトインやテレビなどのAVCが落ち込んだ。また、エアコン向けデバイスも、中国市況の悪化の影響を受け、全体では減収になった。営業利益は、スモール・ビルトインやデバイスの減販損に加えて、メジャーやAVCでの市場対応費用の増加によって、全体では減益になった」とした。
エコソリューションズは、前年同期比6%増の1兆4684億円、営業利益は6%増の501億円。「パナソニック ホームズが新築請負事業の受注が好調なことに加え、分譲事業が大きく伸長。新規連結の貢献もあり、全体では増収となった。営業利益は、パナソニック ホームズなどの増販益や合理化推進の取り組みにより、ライティングの価格下落などの影響をカバーして、全体で増益になった」という。
コネクティッドソリューションズの売上高は、前年同期比1%増の8158億円、営業利益は5%減の735億円。「プロセスオートメーションにおいては、車載・デバイス業界向け実装機、自動車業界向け溶接機が引き続き堅調に推移。一方で、アビオニクスの減速のほか、業務用カメラの販売減があったメディアエンターテインメント、前年の大型案件の反動を受けたモバイルソリューションズが減収になった」という。
オートモーティブ&インダストリアルシステムズは、売上高が8%増の2兆2346億円、営業利益は13%減の553億円となった。第3四半期におけるオートモーティブ事業の売上高は前年同期比3%増の2471億円、同じくエナジー事業の売上高は25%増の1901億円となった。「オートモーティブは、日米顧客向けインフォテインメントやカメラ・ソナー、充電器などが増収。営業利益では、前年度に計上した品質対応費用の反動があったが、欧州の一部案件の開発資産減損などによって減益になった。エナジーは、車載電池が円筒形を中心に大幅増収。営業利益は、北米車載電池工場の立上げ費用があったものの、固定費コントロールやオペレーション改善に加えて、法務関連引当見直しなどにより増益になった。インダストリアルは、米中貿易摩擦の影響を受け、中国設備投資需要が減速し、モーターを中心にメカトロニクスが大きく減収減益になった」とした。
中国市場について、梅田氏は「中国は、米中貿易戦争の影響もあり、短期的には需要が落ち込んでおり、厳しくみていく必要があるが、中長期的には成長市場であることに間違いはない。重点地域として見ていくことになる。そうしたタイミングにおいても、やることはあり、たとえば今こそ、しっかりと販売体制を作ることに力を注ぐ。中国では、大型空調が好調であるほか、スピードやコスト力を日本に反映していくなどのグローバル展開にも生かせる」などとした。
なお、2019年3月期通期(2018年4月~2019年3月)の連結業績見通しを下方修正した。
売上高は、2018年10月公表値に対して、2000億円減の前年比1.5%増の8兆1000億円、営業利益は400億円減の前年比1.2%増の3850億円、税引前利益は350億円減の前年比1.7%増の3850億円、当期純利益は公表値を据え置き、前年比5.9%増の2500億円とした。
「足元の経営状況を踏まえて修正を行った。アプライアンス、オートモーティブ&インダストリアルシステムズの悪化などを反映した。営業利益や税引前利益も、売上高減少に伴う影響を、年金制度の一部見直しなどの影響による良化でカバーできなかった。だが、当期純利益は、法人税などの良化を見込んでおり、変更はない」とした。
また、「課題となっている低収益事業については、引き続き、収益改善に向けた取り組みを徹底するとともに、事業ポートフォリオマネジメントの推進を強化し、全社の収益性向上に取り組む」と述べた。
アプライアンスの売上高は、10月31日の公表値に対して320億円減となる2兆7680億円、営業利益は180億円減の900億円。今年度2回目の修正となる。
「アプライアンスは、冷蔵庫やテレビが、他社からの価格攻勢を受けており、販売が苦戦。追加の対策費用が拡大している。また、中国向けの家電やデバイスは、景気の減速によって、販売が落ち込んでいる。今後の対策としては、エアコンでは、高付加価値商品のラインアップを充実し、冷蔵庫などの白物家電は、商品力の強化やコスト低減を図るとともに、在庫を適切な水準でコントロールする。また、テレビでは、高付加価値商品へのシフトを加速するなど、収益力の向上を図る」とした。
エアコン向けのコンプレッサーが、中国において過剰に流通在庫があり、この調整のために受注が減っていることも大きく影響しているという。
エコソリューションズは、10月31日の公表値からの修正はなく、売上高は期初から310億円減となる2兆300億円、営業利益は80億円減の930億円。コネクティッドソリューションズも10月31日からの修正はないものの、期初に対しては、売上高は270億円増の1兆1200億円、営業利益は50億円増の880億円とした。
だが、オートモーティブ&インダストリアルシステムズは、10月31日時点で、期初に比べて、売上高が700億円増の3兆0700億円、営業利益は330億円減の1030億円とそれぞれ修正をしていたが、今回は、10月31日の公表値に比べて、売上高は850億円減の2兆9850億円、営業利益は360億円減の670億円とした。
「オートモーティブ&インダストリアルシステムズでは、開示事業のすべてにおいて、売上げ、営業利益ともに下方修正した。売上高では、中国における自動車販売の減速により下方修正。営業利益では、欧州の一部案件での開発資産減損などのほか、北米顧客への品質対応にかかる一時費用などを織り込み、大幅に下方修正した。また、エナジーの売上高は、円筒形では、北米工場の電池生産の期ズレ、角形では、環境対応車の需要減を織り込んだ。そして、インダストリアルでは、中国市況の悪化の影響を受けて、設備投資需要が急速に減速。モーターを中心に減販が拡大している。モーター事業においては、中国市況のさらなる悪化に備え、スマホ製品や、中国への依存度を低減させながら、収益力を強化していく」とし、「下方修正の要因のほとんどが、メカトロニクスによるもの。スマホ向け設備を納入するビジネスにおいて、モーターがかなり落ち込んだ。これが下方修正につながった。来期以降も楽観視せずに、こうした状況が続くことを前提にしていく。事業立地そのものを変えていく必要がある」などとした。
懸念材料となっていたテスラ向け電池事業が立ち上がりを見せる一方で、米中貿易摩擦を背景にした中国経済の低迷が色濃く反映された決算内容となった。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」