ドローンがスーパーの在庫をチェック--5億円超の追加資金を調達した米Pensa Systems

Greg Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2019年01月23日 07時00分

 店舗の在庫チェックを行う移動型の自律知覚システムを製造するPensa Systemsが、新たに発表された資金調達ラウンドで500万ドル(約5億4800万円)の追加資金を調達した。これにより同社の資金調達額は合計で720万ドル(約7億8900万円)となり、同社は実店舗向けの自律型商品棚スキャンシステムの最たるものを製造するという激化した競争をリードすることになった。

 Simbe RoboticsBossa Novaといったその他の企業も、小売店に導入され、来店客がいる中で商品棚のスキャンや在庫確認を安全に行えるロボットを製造している。ロボットは店内を回り、マシンビジョンや無線ICタグ(RFID)リーダーを使って棚にある商品を素早くスキャンし、従業員がバーコードスキャナで行うよりも効率的に小売店が在庫を管理できるようにする。

 在庫管理は想像以上に大きな問題で、数十億ドルの売り上げの損失につながる可能性がある。

 「小売店やメーカーは、棚にある商品を見つめて足りない物や間違って置かれている物を探すだけで、状況を把握していない。高度な人工知能(AI)なら、人間が棚にある商品をどのように捉えているかを最適なかたちで認識し、スケールアウトした環境で自動的に、棚に置かれている商品を把握し続ける」と、Pensa Systemsのプレジデントで最高経営責任者(CEO)を務めるRichard Schwartz氏は述べた。

 だが、こういったロボットの本来の利点は、在庫管理にとどまらず、ビッグデータ活用の領域にある。在庫の動きについての膨大な量のデータを分析することによって、小売業者は顧客の購入行動や商品動向において、Eコマースに匹敵する洞察を得られる可能性がある。それにより、実店舗を構える小売業者は、商品棚のスキャニングシステムがAmazonと対等に戦ううえで1つの方法になることを期待している。

 床の上を走行するロボットを活用する競合会社とは異なり、Pensa Systemsは、移動手段として空中ドローンを使用している。ドローンの利点の1つは、自律移動ロボットを一から製造するよりも、ドローンをカスタマイズして導入する方が費用をはるかに安く抑えられることだ。同社のドローンは、ブレース状のケージがプロペラを囲んでいる、科学展で発表される飛行物体のような外観だ。

Pensa Systems
提供:Pensa Systems

 ドローンのもう1つの利点は速度だ。無人航空機(UAV)は地上ロボットよりもはるかに速く店内を周回できる。Pensa Systemsのマシンビジョンは極めて精密だ。同社のパートナー企業で戦略的投資を行うAnheuser-Busch InBevと共に、モントリオールの実店舗で最近行った試用で、Pensa Systemsの飛行ロボットは、毎時ならびに毎日のデータを収集し、98%の精度で在庫切れの商品を識別することに成功した

 ドローンには同様に、飛行時の騒音や来店客の居心地を悪くさせる恐れなどの、デメリットになりうる点もある。だがPensa Systemsの広報担当者は、同社のシステムがそういった懸念を大幅に解消したことを電子メールで説明した。以下がその説明だ。

当社のドローンはかなり小型かつ軽量で、一般販売されているドローンの周囲への騒音よりも静かなので、音はほとんど聞こえない。実店舗で行った試用では、来店客はドローンが10フィート(約3m)離れている場合はその存在にほとんど気付いていなかった。気付いたときは興味を寄せていた。いずれにせよ、ドローンは好意的に受け止められた。自律制御により、ドローンはかならず周囲に人のいない場所にのみ行くようになっており、人が少しでも近づいてきた場合は早めにその場を去るか、遠くへ離れる。ドローンが店員と来店客の両方と友好的な交流を図ることができたため、当社は実店舗での試用において重要な結果を達成した。

 これまでのところ、競合会社のSimbe RoboticsとBossa Novaは、大手ブランドと有益な戦略的提携関係を築くことに成功している。世界最大のスポーツ用品小売業者であるフランス企業のDecathlonは2018年12月、Simbe Roboticsの陳列棚管理ロボット「Tally」をサンフランシスコ店に導入した。一方、カリフォルニアを拠点とするBossa Novaも、同社の在庫管理ロボットが世界最大の小売チェーンのWalmartの50店舗で採用されるなど、成功を収めている。同社の資金調達額の合計は2018年6月時点で7000万ドルとなり、資金調達においては競合他社をリードしている。

 それでも、実店舗を構える小売業者は経営を最適化して効率を高め、Eコマースと競うための方法を模索しているので、チャンスはまだまだ大きい。

 「世界の小売業界は、重大な転換期を迎えている」とBossa NovaのプレジデントでCEOを務めるBruce McWilliams氏は6月に述べた。「今日の小売大手は、すべての客がショッピングに期待するシームレスなオムニチャネル体験を提供するために、正確なリアルタイムの製品情報を必要としている」(同氏)。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

企画広告一覧

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]