家電ベンチャーのUPQ(アップ・キュー)は1月15日、製品開発と量産の体制を一新したと発表した。今後は、製品の量産開発以降の工程をCerevoに委託し、UPQは商品企画、デザイン、プロダクトマネジメント、販売に注力する。スマートフォンのバッテリー発火、4K液晶テレビの仕様誤記などのトラブルが続発したことから、開発量産体制を一新する。
また、プロダクトマネジメントの能力向上を目指して、シャープが主催する「第8回モノづくりブートキャンプ」(3月11〜3月16日に合宿形式で開催)に、UPQの創業者であり代表取締役CEOを務める中澤優子氏や従業員が参加することも明かした。中澤氏はブートキャンプ参加で「大手における品質確保、信頼性向上の仕組みを吸収したい」と語った。
従来、工場への量産依頼や、量産時の品質管理はUPQが主体となって担当し、Cerevoが品質管理に関するアドバイスをしていた。さらに発生前の問題が見つかったときや、問題が発生したときは、Cerevoがアドバイスし、UPQと共同で解決法を模索していた。しかし、UPQの経験不足が影響してトラブルが続発してしまった。
新体制では、Cerevoに量産開発以降の工程を委託する。Cerevoは2008年から自社ハードウェア製品の設計と開発を開始し、設計管理、開発技術、製造管理、マーケティング、販売、広報など、ハードウェア製品に関する豊富なノウハウを蓄積している。現在はそのノウハウを生かして、ハードウェア製品の企画、開発、販売を希望するスタートアップ企業を支援している。
発表会に登壇したCerevo代表取締役の青木和律氏は、新体制では「商品企画の最初の段階からCerevoが見て、潜在的な危険性を洗い出し、正しい方法で設計を改善し品質を管理する」ことで、販売する製品の品質を改善していく方針を示した。そして中澤氏は「これまでの『ベンチャーだから』という甘えに見えていた部分を払拭したい」と決意を示した。さらに「UPQブランドの商品の生産数を2桁ほど増量したい」と、量産能力の向上にも期待を示した。
さらに、UPQは自社ブランド商品の企画などを続けながら、ハードウェア商品の商品企画、プロダクトマネジメント、販売のノウハウを大手メーカー、ベンチャー、スタートアップなどに提供するサービスを本格的に展開すると明らかにした。このサービスは以前から始めていたが、今回の体制一新を機に、より大きな規模で開始する。
UPQは、新体制で取り組む製品も発表した。卓上簡易燻製機「REIKUN-Dome(レイクン・ドーム)」だ。膨らみがある筒状のガラスを食品の上に置き、ガラス上部の穴に燻製機をはめて使用する。通常の燻製では、点火したスモークウッド(粉状に粉砕した木材を固めたもの)やスモークチップ(チップ状に加工した木材)から煙が立ち上る上方に食品を吊して、煙を当てるが、REIKUN-Domeは燻製機が発する煙をガラスが作る空間に充満させ、食品に煙を当てる形を採る。
燻製機の天面にある蓋を外すと、金属製の小さめのカップが現れる。ここにスモークウッドを入れて点火して蓋をはめる。これでスイッチを入れるとファンが回転し、燃焼するスモークウッドが発する煙が下方向に流れ、ガラス容器内に煙が充満する。スモークウッドはREIKUN-Dome専用サイズのものを用意するという。現時点では「サクラ材」と「リンゴ材」の2種類を予定しているが、他の材を使用したものも提供する可能性もあるとしている。
REIKUN-Domeは、クラウドファンディングで資金を募り、目標額に達したら開発と量産が始まる。1月15日の14時から、TSUTAYAグループが運営する「GREEN FUNDING」でクラウドファンディングを開始しており、3月31日23時59分までに1500万円を集めることを目指している。All-or-Nothing方式で資金を募っているため、期日までに目標金額を集めることができなければ、製品化は中止となる。
製品化が決まったら、1カ月分の専用スモークウッドをセットにして2万6000円で販売する。店頭では販売せず、クラウドファンディングのサイト限定で提供する。先着50名には、同じものを15%引きの2万2100円で提供する。目標金額に達成したら、「REIKUN-Dome公式レシピ開発会議」というイベントを開催する。プロトタイプを試用、体験できる試食会を兼ねたレシピ開発会議だ。またUPQは蔦屋家電エンタープライズと協力して、レシピの開発を進めるとしている。
そして、5名限定で2泊3日の量産工場見学ツアーを開催する。価格は50万円。中澤氏は「ぜひとも、工場で商品を製造しているところを見てもらいたい」と、新しい開発量産体制への自信を見せた。
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