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コインチェックは9カ月でどう変わったのか--金融庁の“お墨付き”を受け再出発

山川晶之 (編集部)2019年01月12日 13時45分
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 コインチェックは1月11日、資金決済法にもとづく仮想通貨交換業者として関東財務局への登録が完了したと発表した。

 同社は、仮想通貨交換業における「みなし業者」として登録されていたが、2018年1月26日に仮想通貨NEMの不正送金事件が発生。以降、日本円の出金やビットコインを除いたすべてのアルトコインの売買を停止し、流出したNEMの日本円による補償を実施するなどの対応が続き、交換業登録は暗礁に乗り上げていた。

 その後、4月にはマネックスがコインチェックを36億円で買収。あわせて、元マネックスグループ取締役兼常務執行役の勝屋敏彦氏を新社長に迎え社内体制を一新。業務改善計画を策定・実行し、経営管理態勢及び内部管理態勢の改善を実施した。3~6月には仮想通貨の出金・売却を、11月には取り扱うすべての仮想通貨の売買を再開。仮想通貨交換業者としての登録と、仮想通貨取引所としての全面再開に向けた準備を進めていた。

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(左から)コインチェック執行役員の大塚雄介氏、同代表取締役の勝屋敏彦氏、同執行役員の和田晃一良氏

 東京証券取引所で会見した同社代表取締役社長の勝屋敏彦氏は、「昨年1月にNEMの不正流出事件を起こし、お客様、取引先に多大なご迷惑をおかけした。昨年4月に(マネックスグループの)100%子会社となり、役員・社員一同一丸となって事件の再発防止、管理態勢の整備に取り組んできた」と謝罪。

 続けて、「コインチェックは非常に急成長したITベンチャーだが、経営でバランスを欠いていた。努力はしていたが十分ではなかった」と説明。「マネックスは過去20年間のビジネスで得た知見をビルトインすることで一気にレベル引き上げられた。なにをしてきたか。それは、業務改善命令の内容を地道にコツコツやっていく。それをしっかりやる1年だった」と2018年を振り返った。

 また、前コインチェック代表取締役社長で現同社執行役員の和田晃一良氏は2018年を振り返り、「1年前の事件の影響で、さまざまななところにご迷惑をかけてしまい大変申し訳なく思っている」とし、「事件が起こる以前から(仮想通貨市場は)ある意味バブルになっており、現在はそれが一旦落ち着いた状況。この状態がもともとの仮想通貨の平常だと私は考えている」とコメント。

 続けて、「この状況だからこそ新たな技術や商品の開発など、腰を据えて未来への投資ができる。私たちも新しいコインや証券に似た仮想通貨であったりと、引き続き調査をしながら、今後の業界の発展のために努力していきたい」と述べた。

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今後の業界の発展に注力すると語った和田氏

コインチェックは9カ月間でどう体質改善したのか

 9カ月かけて構築した新体制について勝屋氏は、「重要なのは経営体制とガバナンスの抜本的な見直し」とし、勝屋氏をはじめとした執行部とそれを監督する取締役会を設置。社外取締役やマネックスグループと連携した内部監査で監査機能を強化したという。取締役会では、コンプライアンスとシステムリスクの両委員会に外部専門家を呼び、牽制機能を強化したほか、リスク管理の3防衛ライン(フロント、ミドル、内部監査)モデルを採用した。

 また、内部管理やシステムリスク管理に経営資源を投入し、顧客への説明や苦情を受け付けるカスタマーサポートも体制を強化した。その中でもっとも注力したのが横断的なリスク管理だという。勝屋氏は「システム面もだが多面的に見るのが重要」と述べ、システムリスクについては、全般的な監視部署を設置。業務端末などのエンドポイントやクラウドのセキュリティ強化のほか、ネットワークの分離、マルチシグネチャの導入、全通貨でのコールドウォレットの導入、セキュリティルール・セキュリティ教育の強化、CSIRT体制などを構築している。

 そのほか、取り扱いの仮想通貨については基準を策定し、匿名性の高い通貨(ZcashやMoneroなど)については2018年前半に廃止を決定。勝屋氏が「仮想通貨という性質上、重要な項目」とするマネーロンダリング対策にも力を入れ、2018年2月に金融庁が発表したガイドラインに則って、本人確認の厳格化など各種施策を実施した。

当面は「取引所・販売所」に注力

 なお、現在の取引量については、活況だった2016年と比べると「だいぶ取引量の差が出ているのは否めない。2018年度に関しては、4月から10月まで、お客様の入金や販売を止めた時期であり、内部管理体制の整備でコストがかさむ一方、収入は落ちる。11月以降再開し、ボリュームは伸びているが、市場にかなり左右されることもあり、経常的に収支が均衡するまでは到達していない」という。しかし、市場の影響を除き、ユーザーの入会から取引までのサポートなど信頼を重ねることで均衡に近づけたいとしている。

 今後の展開については、まずは取引所・販売所のビジネスを足固めし、マーケティングやプロモーション施策を展開。当面は、既存ユーザーが安心して使ってもらえるようなコミュニケーションを取るという。また、ICOやSTOなどについても継続的に調査し、小さな企業がグローバルで資金調達できたり、グローバルで送金・決済できる仮想通貨ならではのメリットを生かし、中長期的には新しい仮想通貨を使ったサービスを構築したいとしている。

 自主規制団体の発足やルールの厳格化など、差別化が難しくなってきた取引所ビジネスだが、コインチェックが優れるポイントとして勝屋氏は、170万ダウンロードを突破したユーザーベース、優れたUI/UX、マーケティング力、高いブロックチェーン技術、ユーザーサポート、システムセキュリティを挙げ、交換業登録を一つの通過点として不断の努力を続けていく所存だと語った。

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