かつての液晶ディスプレイ(LCD)は視野角が狭く、LCDの正面から外れた位置で見ると色味が正しくなくなったり、表示がほとんど見えなくなったりしたものだ。最近はLCDの改良が進み、多くの場面で視野角を意識することはまずない。
ところが、脇からも画面が見えやすくなったため、スマートフォンに表示させた個人的な情報を他人に盗み見られる危険性が増えてしまった。スマートフォンの画面にのぞき見防止用フィルターを装着する対策はあるものの、逆に大勢で一緒に見たいときなどは不便だ。
そこでAppleは、視野角を制御可能な情報表示技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間12月25日に「SYSTEMS AND METHODS FOR ELECTRONICALLY CONTROLLING THE VIEWING ANGLE OF A DISPLAY」(特許番号「US 10,162,203 B2」)として登録された。出願日は2016年10月27日、公開日は2017年2月16日(公開特許番号「US 2017/0045764 A1」)。
この特許は、表示画面を搭載する何らかの電子デバイスにおいて、表示内容を見るのに適した視野角を電子制御可能にする技術を説明したもの。
表示画面は、情報を光として放射する光源層と、光を散乱させるモジュールが設けられる。そして、光源層と散乱モジュールのあいだに、光源から放たれた光をどの散乱モジュールに通すか制御する層を挟む。散乱モジュールは、領域によって異なる視野角特性が付与されており、使う散乱モジュールに応じて表示画面の視野角がコントロールできる。制御層には液晶を利用し、電子的に操作することで光を制御するそうだ。
この技術を使えば、1人で見ているときは視野角を狭くしてのぞき見を防止し、複数の人と一緒に画面を見たいときは視野角を広くする、という切り替えが可能なディスプレイを実現できる。Appleは、スマートフォンやタブレット、PC用ディスプレイ、ゲーム機、メディアプレーヤ、カメラなど、画面を搭載する多種多様な電子デバイスへの適用が可能としている。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
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