自動運転車を開発する競争が激化しているのは周知の通りだ。しかし、競争するからにはゴールを定義しておくべきだったのに、残念ながら、その点については誰も明確に定義していなかったようだ。とはいえ、機能的で採算性の見込まれる自動運転車を最初に公道に走らせた企業が勝者だというのであれば、「Waymo One」の提供を開始したWaymoがこの競争を制したことになる。
ただし、そこにはいくつか重要な注意点がある。
Waymo Oneは、Googleからスピンアウトした自動運転車開発企業Waymoが発表した配車サービス。米国時間12月5日にアリゾナ州フェニックスで提供が開始された。このサービスはUberやLyftと競合するが、完全な自動運転車だけで運営される点が大きく異なる(もっとも、現在のところは、運転席にドライバーが同乗する)。ドライバーを不要にすることが、配車サービスで採算をとる唯一の手段のように思われており、UberもLyftも(またそれ以外にも多くの企業が)、自動運転システムの開発に力を注いでいる。
Waymo Oneの配車サービスアプリは現在、「Android」と「iOS」を対象に提供されているが、実際にサービスを利用できるのは、極めて少数のユーザーに限られている。Waymo独自のアーリーライダープログラムに加入する数百人のうち、一部のユーザーしかこのサービスを利用できない。
そのレベルで、Waymoが一般向けサービスの提供を開始したというのは、やや大げさではないのか。そうとも言えるし、そうでないとも言える。そうと言えるのは、一般提供と言うにはまだ程遠いからだ。一部のユーザーだけが親しい友人を招待できるようになっていた初期の時代の「Gmail」のような段階にさえ到達していない。利用者が限られている上に、アリゾナ州郊外(具体的には、テンペ、メサ、ギルバート、チャンドラー)でしかサービスを利用できないのだから、さらに状況は限定されている。
とはいえ、これは大きな前進だ。WaymoのアーリーライダープログラムからWaymo Oneの利用に移行したユーザーは、守秘義務から解放されるためだ。したがってまもなく、実世界で利用した場合のこのサービスの実際の印象が明らかになるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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